渡辺 碧水
当「蜂蜜エッセイ」の応募作品を読んだ後、うろ覚えだが、頭の隅に残り、気になっていたことがある。「蜂蜜は生ものだが腐らない。生ものは腐ると辞書にあり、矛盾していないか」といった趣意だった。
一か月ほど前の掲載だったはずと、見当を付けて作品を読み返し続けてみたところ、たぶんこれだと思う作品に行きついた。
SENSENさんのタイトル「蜂蜜」(第五回、二〇二〇年十二月掲載?)。
改めて読むと、テレビの情報番組の中で話題にされたようだった。
要旨は「蜂蜜は決して腐らないという話もあった。百年前の蜂蜜も食べられるのか? 蜂蜜の瓶には、蜂蜜は生ものだから一歳未満の子どもには与えるなと書いてある。生ものなのに腐らないメカニズムを専門家からぜひ聞いてみたい。生ものとは、辞書を引くと、『放っておくと腐る新鮮な食べ物』とある。生ものなのに腐らないとは何か矛盾しているような気がする」というもの。
私(渡辺)は専門家ではないが、記憶に残ったほど気になっていたことなので、改めて私なりに調べてみることにした。投稿者の問題提起から観点を次の三つとした。
(一)蜂蜜は生ものであるか。
(二)蜂蜜は決して腐らないか。
(三)蜂蜜を一歳未満の子どもに与えてはならないのは生ものだからか。
まずは「生もの」の確認から。手元にある辞典『広辞苑』には、「なまもの(生物)」とは「煮焼きしたり干したりしない、生のままの食物。多く魚類についていう。また、日持ちのしないいたみやすい食品」とある。
小学生向けの国語辞典では、「なまもの(生物)」とは「煮たり、焼いたり、干したりしていない食べ物。いたみやすい」とあり、同様の説明だった。
他の辞典でも、説明文には直接「腐る」とはなかったが、「いたみやすい食品」とあり、「い(傷)たむ」には「くさ(腐)る」との意味もある。
こうした説明で、蜂蜜が「なまもの」に含まれると受け止めてよさそうにも思えるが、どうもすっきりしない。蜂蜜を「なまもの」とすること自体が、用語の範疇に入っていないようにも思われる。
【同タイトル(二)へ続く】
(完)
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