バチ
忘れられない味がある。
令和になりたての約2年前、遊びに出かけた東京から地元長野に朝早く帰ってきた時のことだ。
疲れていたので駅のカフェで朝食にした。パン、スープ、スクランブルエッグにウインナー、デザートに蜂蜜をかけたヨーグルトというオーソドックスなメニューだった。そこで出会ってしまった。
普段食べている普通のヨーグルトとなんら変わらないのに、蜂蜜をかけただけで異常においしいのだ。ヨーグルト独特の酸味を蜂蜜が中和し程よい甘さを引き立たせていた。
それからすぐに真似をした。今まで蜂蜜などというハイカラな食物とは無縁だったが、買ってきたヨーグルトには必ず蜂蜜をかけて食べた。その度に「蜂蜜とはこんなに美味しいものだったのか」と感動している。
ヨーグルトだけでは飽きたらず、ホットミルクに入れたりパンケーキにかけたり、蜂蜜をそのまま食べたりもした。どれも心がほっとするような優しく、甘美な美味しさだった。他の人は当たり前のようにしている食べ方なのだろうが、私にとってはまさに文明開化の味がしたのだった。
(完)
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