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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜がくれた友との絆

大城可笑駒

 

 ある日の夕暮れ、宅急便がひとつ届いた。大学時代の同期で、それ以来の友からだ。友と言っても、最近は年賀状で一年に一度、挨拶を交わすくらいだった。その彼から、ハガキよりも随分と大きな届け物である。包装を解くと、中からローヤルゼリーの入った蜂蜜が現れた。ひとこと手紙が添えられて。
 「がんばれ!」
 実はわたし、いま抗がん剤治療中の身である。幸いにも胃の手術は成功したものの、悪性度が極めて高いため抗がん剤治療開始。それにもかかわらず肝臓に転移したため、現在は別の抗がん剤治療を受けている。がんそのもの、手術による後遺症そして抗がん剤の副作用に苦しむ日 々を送っている。闘病するオレのことを知った彼は蜂蜜をわざわざ送ってくれたのだ。嬉しかった。よ~し、さっそく食べるぞ。
 耳を切り取った食パンを2分の1にして、蜂蜜を塗って食した。うまかった。そして涙がこぼれてきた。大学生時代を思い出したからだ。もう30年以上前のことを、喜怒哀楽で。勿論そのころ、今の自分を想像だにしなかったことは言うまでもない。
 悲しいかな、がんは治ってはいない。だがこの蜂蜜のおかげもあり今わたしは生きていられる。食パンも何とか1枚いけるようになった、耳も切らずに。有難い。これからも毎日、蜂蜜とともに生きていこう。と言いたいところだが、ごめんなさい。嘘です。ここのところ毎日は食べていない。1週間に一度、いや2週間に一度か。でも言い訳すると、友から送ってもらうまでは全く食べてなかった。食べていた記憶は子供時代まで遡る。だから2週間に一度でも、食べるようになった方だ。これは他ならぬ友のおかげである。彼には大感謝だ。
 そして何はともあれ蜂蜜。がんを生きる私を支えてくれるばかりでなく、さらにこれが友との絆を深めてくれた。蜂蜜さん、本当にありがとう。これからもどうぞよろしく!

 

(完)

 

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