野上卓
定年退職してから、海外旅行をするようになった。ヨーロッパ方面がお気に入りである。ヨーロッパでは、蜂蜜に触れる機会が多い。
わたしは、蜂蜜は苦手であった。蜂蜜の甘さは、生き物の匂いがついている。花の匂い、あるいは蜂の匂いだろうか。どこか個性のある甘さである。もう一つは値段である。砂糖などに比べて、かなり高い。そんなこともあって、これまであまり食べることはなかった。
ところが、ヨーロッパに旅をすると、朝食には必ず蜂蜜の小さなパックがジャムやバターと一緒にあって、なんとなく食べてしまう。味に慣れるとおいしいのだ。そして、デザートに蜂蜜の甘さが漂っているのに気づく。
まずは、蜂蜜に慣れた。
ブルガリアの街道を走っていると、おじさんが自家製の蜂蜜を売っているのに出会う。おじさんのまわりにはぶんぶん蜂が飛んでいる。観光客向けなのだろうが、値段は安い。
市場へいくと、いろいろな蜂蜜が置いてある。これも安い。
とくにおじさんの蜂蜜は、パッケージが不十分で、こぼれ出ないように蓋を厳重に包まなくてはならないが、苦心して持って帰って贅沢に使った。
食べ慣れると、抵抗がなくなる。もう少し蜂蜜を楽しみたく、スーパーへ行くが正直、中国産は買う気がしない。自然のものだから、空気の汚れなどを思えば、なにが入っているか不安がある。
国産のものを楽しみたいと思っている。が、いささか高い。
だから、蜂蜜を買うのも時 々となる。
単純に、もう少し安くなったら、と思う。贅沢品としてたまの楽しみにしたくはないのである。養蜂の手間暇を思えば、難しいことは承知の上である。
(完)
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