はちみつ家 > 蜂蜜エッセイ

ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

Suzuki Bee Keeping

サイトマップ RSSフィード
〒382-0082 長野県須坂市大字須坂222-3

 

蜂蜜エッセイ応募作品

プロポリスとの初めての出会い

み ・カミーノ

 

 “Are you OK? This is good for your throat.”
 
 友人の1人、ブラジル人の彼女が差し出したのは飴色の小さなボトル。 PROPOLISという文字の横に、蜂の写真。
 
 イガイガする喉を何度も鳴らしながら、私はボトルを見た。おそらく私は、怪訝そうな表情をしていた。【なにこれ?】と顔に書いてあったんだろう。
 
 「蜂蜜みたいなもの。喉の痛みによく効くのよ。スプレーするだけで大丈夫。あなたにあげる。いつもお世話になってるから」
 
 彼女は英語でそう言うと、パチンとウィンクをした。
 
 大丈夫かな、これ?
 
 半信半疑の私に、彼女はその“プロポリス”とやらを半ば押し付けるような形で握らせた。今から25年ほど前のことだ。
 
 初めて聞いた“プロポリス”という単語と、人を刺しそうな蜂の写真。ボトルを振ると、トプトプと音がした。
 
 私の生活圏内では一度も見たことのないボトルに、謎の液体が入っている。成分表には難しい名前がならび、何が入っているのかさっぱり分からない。インターネットのない時代だから、調べようもない。“喉の痛みによく効く”という彼女の言葉を信じるしかなかった。
 
 家に帰り、もう1度ボトルを眺める。蓋を開けてクンクン匂いを嗅ぐ。甘い香りと、今まで嗅いだことのないような刺激臭。
 
 これ、ほんとに大丈夫?
 
 すぐに蓋をキュッと閉めた。
 
 夜になり喉の痛みはひどくなった。カサカサを通り越し、ガッサガサだ。恐る恐るプロポリスに手を伸ばす。
 
 この匂いさえ我慢すればいいか。自分を納得させ、口を大きく開けた。
 
 シュッ!喉めがけてスプレーを押す。
 
 ジワー。ん?なんだかあったかいぞ。
 
 濃密な液体が喉を湿らす。トロリとした甘さが喉全体に広がった。意外と美味しい。ボトルの蜂を見たらすごく効くような気がしてきて、そのまま布団に入る。
 
 次の朝目覚めると、喉の痛みはなくなっていた。まるで魔法だ。プロポリスをひと吹きしただけなのに。彼女の言うとおりだった。
 
 「あなた、なかなかやるわね」
 
 私は飴色のボトルの蜂を指でなぞった。

 

(完)

https://note.com/bousuku_keyman

 

蜂蜜エッセイ一覧 =>

 

蜂蜜エッセイ

応募要項 =>

 

ニホンミツバチの蜂蜜

はちみつ家メニュー

鈴木養蜂場 はちみつ家/通販・販売サイト

Copyright (C) 2011-2024 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.