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蜂蜜エッセイ応募作品

シアワセ

蜂兵衛

 

 朝一番の、私のシアワセ。それは、食パンにかける一筋のキラメキであったり、牛乳にたらす一滴のカガヤキであったりする。それは甘く、口の中に広がって、目覚めたばかりの私を優しく包み込んでくれる。あぁ、今日も一日元気に過ごせそうだ、と思う。仕事の合間の、私のヒトトキ。それは、ひと匙に満たされるコンジキの海。ぐったりしている私をじんわりと温めてくれる。さぁ、もうひと頑張りっ。はっくしょぉん、おおきなくしゃみと起きた朝も、今日も一日シアワセに。と思ったのに…。戸棚を開ければ、そこにはいつものとろーりとした金色はなく、雪のように白い結晶がザクり。あぁ、シアワセはいったいどこへ。もう一生元通りにはならないのか。一人さみしく絶望に打ちひしがれる。いつもと同じ朝なのに、あるのとないのじゃこんなにも違うなんて。あの時の甘さがまだ口の中にあるみたい。ハッと一息吐いて、もう一度息を吸い込む。そうこうしちゃあいられないぞと、私は鍋を取り出して、ボっとひと回し。冷え切っているならば温めればいい。今までもらった温かさを思い出して、その分温めてあげればいい。シアワセとは自分でつかむものなのだと。どこかで聞いたことがあるようなセリフを浮かべては、あのキラメキをもう一度と、プカプカしている小瓶を見つめる。シアワセに大きさは関係ない。まだか、まだかと急いでも、そんなに急には無理だよなと、もうちょっとだけ待ってみる。そのひと踏ん張りをのり超えると、やっと夢にまでみたカガヤキが。いつものように、食パンに、牛乳に。「いつも」がこんなにも幸せだったとは。シアワセは自分で温めるほど、こんなにも甘くなるものだったとは。なるほど、これが幸せの味、これこそ私だけの幸せなのかと思う。

 

(完)

 

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