クマケン
僕は小学校から中学校にかけて書道教室に通っていた。家から車で30分ほどかかる場所にあった。土曜日の午後である。一番まったりした時間である。書道教室に通うのは嫌だった。嫌だったのだがおふくろが教育熱心だったので通っていた。嫌だと言いながら、なんだかんだで中学校を卒業するまで皆勤したのである。
書道教室の近くに養蜂場がやっているアイスクリーム屋があった。そこの蜂蜜入りのアイスが僕は好きだった。行けば帰りにおふくろがそれを褒美に買ってくれるのだった。
僕はそれほど舌が肥えているわけではないが、やっぱり他のアイスとは違う美味しさが感じられた。グルメレポーターがよく言う「自然な甘み」「わざとらしくない甘み」という表現がやはりふさわしいだろうか。書道で疲れた目や脳に深く浸みわたる美味さがあった。
それが目当てで毎回通っていたようなものである。なので、今でも僕の字が 「むちゃくちゃ下手くそ」でないのは蜂蜜のおかげである。感謝する。
と書いていたら久 々に食べたくなってきた。次の休みに行ってみよう。
(完)
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