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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜軟膏を作る

下村 成昭

 

 応接間の窓ガラスの向こうに虫の一団が飛んでいる。点描画の大甕のような群れが右に左に移動する。巣の在処は見当がつかない。何度か蜂に痛い目にあっており、刺されても嫌だと業者に駆除を頼んだ。
 業者は親子で80歳過ぎの親父さんは帽子を被っているが、防御のネットもない。「蜜蜂は悪さはしないから大丈夫」と言う。調べた結果、床下の喚気口から出入りし、巣は仏間の下の方にあるという。畳を上げ、親父さんは潜り、勇敢にハチの巣へ向かう。
 掃除機のような機械で吸い込み、袋の中へ次 々とハチを捕獲する。「また巣作りを始めるかもしれないので、全滅作戦」を御願いした。
 衣装ケースの3分1程の量がある蜂蜜を回収した。「蜂蜜はどうしますか」と訊ねるので、「少しあれば」と答えた。親父さんが床下から現れると、おでこを刺されたのか少し腫れていた。可哀相な気がした。
 少し蜂蜜を貰ったのは「創傷に有効性があり、殺菌力もある」と前に聴いたからだ。昔、床屋が耳掃除のサービスをしそれ以来、左の耳の中が痒くなった、水虫でもうつされたのだろう。
 皮膚科に行ったが「耳は専門外です」と言われ、耳鼻科で診察しても、ステロイドの薬を綿棒につけ塗るだけである。一時的に痒いのが止まるだけで治癒するのではない。掻痒感と戦う長い年月が過ぎた。
 我慢できず、つい掻いてしまい、耳の中が傷になる。アレルギー性皮膚炎の人が掻きむしり、皮膚がボロボロになる写真も見た。「適切な処方箋はないのだろうか」。 妻が「蜂蜜に軟膏を混ぜ塗ると、傷に良い らしいよ」と情報をくれた。悩める者は「効くのだったらやってみよう」。
 純粋なハチミツと白ワセリンを小さな容器に入れ混ぜ合わせた。症状が出た時、綿棒に付け、外耳に塗ってみた。「痒いのが気にならない。蜂蜜の効果がでたぞ」いらいら感が消え落ち着いた。3時間経つと、又痒くなる、そこでまた塗る。
 痒い耳に長年悩まされ続けたが、蜂蜜軟膏を作り症状が緩和された。ミツバチさんに心から感謝したい。

 

(完)

 

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