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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜とろーり

ゆか

 

 とろーりという言葉は蜂蜜のためにある。蜂蜜以上に、とろーりがぴったりくるものはない。
 とろりでもなく、とろんでもない。とろーりという言葉がなにより蜂蜜を表している。
 小さい頃、家では、なかなか口にする機会はなかった。我が家では甘味ということもさることながら滋養という目的で使われていたように思う。祖母が紅茶に入れたり食パンにつけていたが、毎日食卓にのぼるようなこともなかった。ましてや、砂糖のかわりに料理に使うなんてことは贅沢に過ぎる。祖母が使ったスプーンをもらい、そこに残った蜂蜜を舌でたしかに感じながら味わう幸せよ。濃厚な甘さにいつまでもスプーンをくわえていたくなるのである。
 唯一私のために出てきたのはホットケーキが焼かれるときであり、その時には、甘美なとろーりが目の前で展開されるのである。
 このとろーりとかける時こそが、その濃厚な甘さと香りを思い起こさせ、蜂蜜を口にする前から誘惑する。メープルシロップなどというものは知らなかった。我が家のホットケーキはいつも蜂蜜であった。
 大人になって、蜂蜜がたれないように工夫されたハニーディスペンサーやはちみつスプーンがあることを知った。
 いやいや、それらはおしゃれで簡便であるかもしれないが、蜂蜜は瓶からスプーンですくってとろーりとしなくてはならぬ。それこそが蜂蜜の醍醐味、楽しみである。なぜなら、とろーりということばは蜂蜜のためにあるのだから。

 

(完)

 

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