渡辺 碧水
【同タイトル(七)から続く】
国の白書などに紹介され、蜜源(餌としての果汁)の糖度を高める加熱処理も、製品化の一技術として受け入れられ認められ、本物品質の保証を勝ち取った。
創意工夫の特産品としての珍しさも、各種マスコミで情報発信がなされ周知された。
そう考えて利点を整理してみると、ピンチからの復興が契機ではあったが、まさに「ビー ・アンビシャス!」のチャンスと受け止める転換点になったのではなかろうか。
埼玉県の秩父の森の「第三のみつ」関係者にとっては、復興支援で好感を与えた以上に、製品そのものが高評を得たことで、地元特産品の価値を高めることや地元養蜂家に普及させることにも波及効果の手応えを得たと思われる。
養蜂家には、頑なに本物を志向し、衰退の一途をたどるよりも、他の家畜飼育の進展と同様に、蜜源の与え方や養蜂技術の進化と受け止め、考えの切り換えを図るのが生き残りの途だと、気づかされる機会ともなったであろう。
報道での提言などを見ていると、将来への夢や期待は拡大している。
①輸入に大半を依存している蜂蜜を国産新酷似蜜(第三のみつ)で補える可能性が出てきたこと、②蜜源花が少ない時期でも安定して蜜を収穫できること、③果物や野菜の規格外廃棄物等を有効活用できること、④季節や気候などの自然の影響を少なくし、養蜂期間を拡大できること、⑤養蜂箱設置の場所や条件を任意に変え得ること、などである。
ただ、これは人間の側からの一方的な見方で、蜜蜂の側に立ち、蜜蜂の目線で眺めれば、森林養蜂の名の下で年中働かされることにもなりかねない危機迫る話である。
その後の安達東高校生徒の活躍の様子も、いくつか記しておきたい。
二〇一八年六月二日、テレビ朝日系全国ネット「朝だ!生です旅サラダ」で放映された。
同年十月、コミュニテー誌、JAふくしま未来「ぐーがる」は、西洋蜜蜂八群の養蜂を生徒七人が担当し、蜂蜜や「第三のみつ」の生産に頑張っている様子が紹介された。
【同タイトル(九)へ続く】
(完)
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