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蜂蜜エッセイ応募作品

東北復興「ビー ・アンビシャス」(一)

渡辺 碧水

 

 「ビー ・アンビシャス!」という言葉に出合った。
 「ビー ・アンビシャス!」と聞けば、たいていの人は、北海道開拓に尽力した札幌農学校初代校長、クラーク博士が残した別離の名言「(少年よ、)大志を抱け!」を思い浮かべるだろう。
 ところが、別の「ビー ・アンビシャス!」もあったのである。
 このシリーズではその話である。
 実は、片仮名語では同じ「ビー」でも、英語の綴りで書けば、「be」ではなく、「Bee」とeが一つ多い。「蜂」と「大志」の組み合わせ。「野心的な蜂になろう!」とでも意味づけられようか。
 これから紹介する「ビー ・アンビシャス!」を思い付いた高校生も、主タイトルをクラーク博士の言葉に酷似させた着想には、博士の精神や理念を込めたに違いない。
 正式には「Bee(蜂)Ambitious!~養蜂を利用した『第三のみつ』の商品開発~」という事業計画の名称。
 二〇一六年八月十九日締め切りの「『新しい東北』復興ビジネスコンテスト二〇一六」(新設分野「学生による事業プラン」)に福島県立安達東高校(同県二本松市所在)が応募した事業企画だった。
 この応募には前話がある。順序として、応募に至る経緯を書いてから本題に入る。
 二〇一一年三月十一日、東日本大震災が発生した。あの大惨事が起っていなければ、本稿の話はあり得なかった。
 地震災害に続いて、東京電力福島原子力発電所で爆発事故が起きた。放出された放射性物質による環境汚染の対処のため、汚染地域一帯の家畜は全頭殺処分となった。
 安達東高校の総合学科農業コース畜産専攻班が同校の農場で飼育していた十頭ほどの緬羊も同様に全頭殺処分となり、以後当分の間、他の家畜の飼育も不可能になった。
 二本松市は長年、緬羊の飼育が盛んな地域であったので、同校実習施設の農場でも伝統的に緬羊を飼育していた。ショックは表現する言葉が見当たらないほど大きかった。
 ようやく気力を取り戻し、復興に向けて緬羊に代わる家畜を探し始め、養蜂に生徒の考えが及んだのは二年以上後の二〇一三年後半だった。
 【同タイトル(二)へ続く】

 

(完)

 

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