なきべそはっち
人生甘くない。そう感じた時に、私は蜂蜜をなめるようにしている。これは亡くなった祖母からのおまじないなのだ。私が泣いていると、祖母はよく蜂蜜を一匙舐めさせてくれた。あの頃は、口に甘さが広がるとすぐ笑顔になれたものだ。
大人になった私は、今日仕事でミスして上司にこっぴどく叱られた。それなのに、遠距離恋愛中の彼とはご無沙汰気味である。その上、親友が来月結婚するらしい。大人になった私の傷は、あの頃のように蜂蜜を舐めるだけでは癒されないかもしれない…
「人生甘くない…」そう呟きながら一匙舐めてみるややっぱり美味しかった。泣きながらも、少し笑顔になれた気がした。
あの頃の様に上手くいかない事があるけれど、その度に、私は祖母から教わった魔法を使うのだ。蜂蜜ってやっぱり魔法だね、お婆ちゃん。
(完)
ツイート
蜂蜜エッセイ一覧 =>
蜂蜜エッセイ
応募要項 =>
Copyright (C) 2011-2025 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.