木立慈雨
近年はサケやサンマが取れない代わりにサバが豊漁、店頭でよくサバを見かける。北から来る魚が減って南からブリやサバが上がってくるのは温暖化の影響だろう。サバ味噌が好きなので自分で作ってみる。カルシウム不足を補うべく骨まで食べたいので圧力釜を使う。
しかしうまくできない。市販の缶詰のサバ味噌のようにおいしくない。辛めの仙台味噌のせいだろうか、圧力釜で調理時間が短いためだろうか、といろいろ疑ってみる。甘みが足りないのだと思ってみりんを多めにしたがおいしくない。砂糖を足してみてもおいしくならない。魚の身にまとわりつくようなとろみも足りない。
ある時、戸棚の片隅に蜂蜜があるのを発見した。そこで思いついて蜂蜜を入れて作ってみた。そうしたら上品でまろやかな甘さ、照りも出るしとろみも付いているではないか。家人にも好評。これだ!
分ってみれば簡単なことだった。甘さは砂糖やみりんでという先入観があったのだ。蜂蜜といえばまずは洋菓子、子どもも巣立ち、食事は和食中心、洋菓子は買ってくるものという我が家では蜂蜜を使うという発想がまず無い。しかし今回は思いがけず蜂蜜のお世話になり、おかげでステイホームも充実、三密避けて蜂蜜のススメといったところか。
そういえばもうすぐミツバチの日、今度の3月8日は私の60才の誕生日であり、退職である。今後も多少は働くが自由な時間が増える。これを機に蜂蜜を使った料理にチャレンジしてみることとしよう。「密です」などという自粛警察が跋扈する日 々から、みんなで堂 々と蜂蜜料理を囲み「蜜です」と言える日が早く来ることを心から願う。
(完)
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