鵠 更紗
冬になると毎年のどが乾燥する。だから、夜寝るときにはマスクをしている。5歳の息子は、就寝時間が近づくと、「マスクー!マスクはいかがですか?」とトラックの焼き芋屋さんの真似をしてマスクの入ったケースを持ってきてくれる。
だから私は、「すみませーん、マスク一枚ください」と注文をするのが毎晩の日課だ。
ある日、加湿には十分配慮していたつもりだが、布団に入るとのどが少し痛んだ。
「なんだかのどが痛い。」と、夫に話す私。すると息子は、布団を出てキッチンへと走った。戻った息子が手にしていたのは、はちみつが入ったクマの形のボトルだった。
「ママどうぞ!はちみつを舐めなよ。のどが痛い時に飲むんでしょ?ぼくのをあげるよ。」
それは、息子と一緒にスーパーへ行った時のこと。以前から気になっていたマヌカハニーを手頃な価格で売っているのを見つけて、カゴに入れた。すると息子は私に尋ねた。
「ママそれなぁに?」
「これはね、はちみつだよ。のどが痛い時に舐めると治るの。ママ、冬になるとのどが痛くなるからマスクをするでしょう?それでもまだ痛い時にははちみつを舐めるの。このマヌカハニーっていうのがよく効くんだって。」
「そうなんだ、じゃあぼくはこれにする。」
そう言って、息子はクマの形のボトルをしたはちみつをカゴに入れた。
本当は、一本で十分だったし、それなりの価格がしたが、はちみつは料理にも使えるし、何よりも息子がそのクマのはちみつを気に入ったようだったのでそのままレジへ進んだのだった。
のどが痛み、このままでは風邪をひいてしまいそうだな、という時に、はちみつを舐めると不思議と回復することが多い。幼い時には、母がよく湯に溶かしたはちみつを飲ませえてくれた。体が温まるし、のどが楽になる。この知恵が、息子にも伝わっていることが嬉しく思った。
(完)
蜂蜜エッセイ一覧 =>
蜂蜜エッセイ
応募要項 =>
Copyright (C) 2011-2025 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.