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蜂蜜エッセイ応募作品

ロシアのはちみつ市

加藤雄三

 

 ロシアが蜂蜜の国ということは、意外に知られていない。八月になると公園や駅前広場に市場が開設され、数多くの店舗が軒を連ねる。養蜂家による蜂蜜の祭典と呼んでも差し支えないほどで、このような光景は、日本では見られないだろう。とにかく店舗の多さに圧倒される。
 蜂蜜市の会場に入ると、養蜂家自慢の逸品を、まず味見してくれと、あちらこちらから呼び止められ、活気があることこの上ない。蜂蜜もそれぞれの花の種類に分けられ、色合い、風味、甘みも驚くほどに違いがある。ロシア語に精通していない私は、ひとつひとつロシア語で書いてもらっては、グーグル翻訳で調べるのだが、アカシア、ラベンダ―、林檎はもちろんのこと、アーモンド、菩提樹といったものもある。蜂蜜でありながら、臭いと苦みが強くて、飲み物無しではいただけないものもあり、蜂蜜イコール甘いという常識が揺らぐほど。添加物を一切使用していないので、その濃厚な味わいにも深く頷かされる。
 ロシアでは蜂蜜は健康食と捉えられているようで、体内デトックス、肌荒れ、胃腸の改善、風邪予防など、自分の体調の話をすると、にこやかに最適なものを勧めてくれる。私は無意識に喉元あたりに触れていたようで、風邪をひきやすく、喉が弱い人には、これが一番と、蕎麦の蜂蜜を差し出してくれた。ロシアでは蕎麦の実を、お米のように炊いて食べるのが常食で、とても身近な食材である。その味はというと、良薬は口に苦し、という言葉がぴったりとくる苦味で、健康のためと意を決さなければ、食べられたものではない。さすがに音を上げて、プロポリスの蜂蜜を買うことにした。
 その後も市場のなかを巡っては、蜜蝋、石鹸、菓子などを買って愉しんだ。蜂蜜から様 々な商品がつくられることを知り、思わず眼を瞠らせる。蜂蜜つくりは、長年その国が、培ってきた食文化なのだと感じずにはいられない。肥沃な大地があって成り立ついうことも。

 

(完)

 

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