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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

5ミリの世界

雅月

 

 私は、蜂蜜をもらいたくて、お父さんとの思い出を振り返っているよ。私は蜂の子の甘露煮も蜂蜜もいつも不自由なく食べれる環境にあったから、全然その価値も考えることもなかったよ、お父さん。お父さんが亡くなって、もう三年が経つんだね。お父さんはカエルの皮をはいで、へぼとりへ山へ行っていたね。気持ち悪くて、お父さんには文句ばかり言っていたけど、お父さんが作ってくれた蜂の子の甘露煮はめちゃくちゃ高価で今、食べようと思っても、なかなか手を伸ばせないよ。へぼの甘露煮を入れたホウバ寿司は私の思い出の味。もう一生出会えないかもしれない味だ。蜂にさされても、痛いと言わなかったね。私の息子も蜂蜜が大好きだよ。時 々、スーパーで買うよ。今は、お兄ちゃんが、ミツバチを育ててるけど、「冬は寒くて、全滅したよ。」というがっかりの電話だよ。きっと、お父さんだったら、毛布で温めて、上手に育てるんだろうな。お父さん、息子に美味しい蜂蜜を食べさせてあげたいな。つくろうじいじの話を息子にもしてあげたいな。ハチの巣の5ミリの世界に私の息子も興味をもってくれるきっかけ作りにならないかなと、大きな夢を描いているよ。

 

(完)

 

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