はちみつ家 > 蜂蜜エッセイ

ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

Suzuki Bee Keeping

サイトマップ RSSフィード
〒382-0082 長野県須坂市大字須坂222-3

 

蜂蜜エッセイ応募作品

喉の調子が分かる

石川 友梨

 

 我が家は冬になると活躍する『かりんの蜂蜜漬け紅茶』なるものがある。
 私が高校生の頃、喉が痛いと言った私に母が入れてくれた紅茶。
 初めて紅茶に何かが沈んでるのを見た私。
 おっかなびっくりな感じで飲んだ私。
 高校生にもなって、知らない食べ物飲み物は基本食わず嫌いで手をつけない私。
 それでも、ちょっとだけ口に含んだ。
 馴染みのある紅茶の味が甘くて驚いた。その甘さの中に苦味がある。しかも、口全体がその味の膜に覆われる感じもする。
 なんだか、不思議な飲み物だった。
 今まで『かりん』というものを知らなかった。てっきり、果物だから柑橘系のさっぱりした味なのかなと思っていたので、苦くて驚いた。
 だからこそ、甘い『蜂蜜』と相性が良いのだろう。
 それを飲むようになってからか、喉の調子がよくなった気がした。
 冬になるとだいたい朝は喉が痛くなるので、その甘くて苦い不思議な紅茶を飲む。すると、一日を調子良く始められる気がしたのである。
 試しに買った『かりんの蜂蜜漬け』を飲み続け、「喉の調子が良くなった!」と母はすごく絶賛。毎年冬が来る度に一瓶買うようになった。
 もちろん、私もお気に入りである。
 しかし、数年前から『かりんの蜂蜜漬け』という商品が見当たらなくなった。
 「何で売らなくなっちゃったんだろう」と母は残りわずか、瓶の底で冷たさに固まった蜂蜜の塊をつついていた。
 そのうち母は、かりんが売られる時期になると、蜂蜜と共に買ってきて手作りするようになった。
 最初のうちは、失敗して蜂蜜に白いカビらしきのが出来てしまい、苦労していた。
 思考錯誤を重ね、完成された『お母さん特性かりんの蜂蜜漬け』は、お袋の味の一つとなっている。
 冬になると、必ず母と交わす会話がある。「紅茶いる?」「うん」「かりん蜂蜜入れる?」「うん」
 入れるか入れないかで、喉の調子が分かるのである。

 

(完)

 

蜂蜜エッセイ一覧 =>

 

蜂蜜エッセイ

応募要項 =>

 

ニホンミツバチの蜂蜜

はちみつ家メニュー

鈴木養蜂場 はちみつ家/通販・販売サイト

Copyright (C) 2011-2024 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.