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束の間の呼称「第三のはちみつ」(十二)

渡辺 碧水

 

 【同タイトル(十一)から続く】
 もう一つは、「『第三のはちみつ』研究会」の活動が休止せざるを得なくなったとすれば、その運命の分岐点になったとみられる作り話のような話。
 「第三のはちみつ」の名称使用に異議ありと指摘した人がいたという。
 新聞記事にもなったというが、二〇一一年二月ごろ(?)、ある人のブログに載った貴重な情報なので、あえて付け加えておきたい。
 それによると、元玉川大教授の松香光夫氏が、ある時の講演で「自然産品のハチミツとは言えない。商品として流通させるなら、ミツバチと人の共同作業でできた新しい作品であることを強調する工夫が必要」と指摘したのだそうだ。
 固有名詞まで出てくる手の込んだ作為かもしれないが、最後に至って、やっと「腑に落ちる」話にたどり着けた気がする。
 見事に核心を突いた一声だと思う。
 森林の豊富なカエデ樹液に着眼し、蜂蜜化を試みた点は素晴らしかったが、蜜源の糖度を高めるために、人の手で加熱処理をした。魔が差したか、禁じ手を使ってしまった。
 蜂蜜の種類を「第一、第二、…」と分けるのも、面白い着想だった。だが、自らの製品を同列の「第三番目」に位置づけるためだったとすれば、姑息な論法だった。
 国際規格を引き合いに使ったのもわざわいした。日本の公正競争規約に沿っていれば、当時はまだ正式な「はちみつ類」に含められる可能性があった。
 最初は「仮に…」と謙虚だったはずが、勇み足をしてしまった。
 玉川大学と聞けば、国内の養蜂研究では、だれもが一目置く科学者集団である。その大御所を招いて、お墨付きをもらうつもりだったらしい。温情に満ちた言葉だったが、引導を渡されたに等しかった。
 これが事実なら、あとは想像がつく。埼玉県秩父市の産学官挙げた自慢の事業が途中で失速しても、決して不思議ではない。
 新規蜜蜂は呼称「第三のはちみつ」がもとで束の間に失墜し消えてしまった。
 もっと地道な研究を重ねて、謙虚な呼称にしていれば、それなりに輝く存在であり得た。誠に残念でならない。

 

(完)

 

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