はちみつ家 > 蜂蜜エッセイ

ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

Suzuki Bee Keeping

サイトマップ RSSフィード
〒382-0082 長野県須坂市大字須坂222-3

 

蜂蜜エッセイ応募作品

今年もピュアなお裾分け

浅野 百合子

 

 先日、実家へ行った時のこと。コロナ禍での生活をあれこれを話していると、もうすぐ90歳になる父親が、台所から何かを抱えて持ってきて、コタツの上にガタッと置き『ほれつ、今年の分』。見ると、大瓶ひとつと、小瓶2つにたっぷりと入った蜂蜜。スーパーで売っているハチミツの色とは違って、ずいぶんと色が濃い!
 『うわぁ~、こんなに採れたの?すごーーい!』
 と私。そうなんです。父親は何年か前から自分で巣箱まで作って、蜂蜜を採ってはお裾分けしてくれています。なんでも、撹拌機まで作ったという本腰の入れよう。趣味の一環としてはやり過ぎ感が否めませんが、でも、こうして混じり気なしの純粋な蜂蜜が頂けるのは、本当に有難いものです。
 そう言えば、何年か前にはミツバチを狙って、スズメバチが巣箱に入り込んで全滅してしまったそうです。なのでその翌年は、入口をグッと小さくしてスズメバチが中に入れない様に巣箱を改良。こういう風に失敗を繰り返し、試行錯誤して現在に至っている訳ですよね。
 そうそう、“以前に頭にとまったミツバチを手で払ったら、危険を感じてその年は来なくなった事があった“と言う話を聞いていたので、その話をしたら、なんと頭にとまったのはスズメバチだったそうです!おまけに刺されてしまって。急いで、マムシ酒を塗って大事には至らなかってそうです。えっ?マムシ酒?と聞いて、ゾッとした私と主人でしたが、何事も無かったように刺された時の事を笑って話す父親が急に頼もしく見えて来ました。いつもは年老いた、ごく普通のお爺さんに見えていますが 笑
 ハチミツを全部採ってしまうと、巣箱の中で蜜蜂が冬を越せなくなってしまうそうで、少し残しておくそうです。なんだか可愛い。
 また、『こんなに小さな体で、どれだけの回数を往復してせっせとこれだけの蜜を集めたかと思うと、採るのが可哀想になってしまう』との話を聞いているうちに、なんだか、こっちまで気の毒になってしまって。
 “そうだよね、大切に、大切にいただこう“と心に誓いました。
貰った蜂蜜を大切に持ち帰り、テーブルに3本並べて、一体誰にお裾分けしようかとすご~~く悩んで悩んで 笑笑。悩みすぎて、ジャムの小瓶にうつせば分けてあげる人数が増やせるという簡単な方法までなかなか行きつきませんでした。笑笑
 翌日、『今年も採れたよぉ~』と意気揚 々と、さも“私が苦労の末に採りました“的な感じで、ピュアな蜂蜜の入った小瓶を友達に手渡した事は言うまでもありません。
 『お父さんずっとずっと長生きして、これからも蜂蜜お裾分けしてね』

 

(完)

 

蜂蜜エッセイ一覧 =>

 

蜂蜜エッセイ

応募要項 =>

 

ニホンミツバチの蜂蜜

はちみつ家メニュー

鈴木養蜂場 はちみつ家/通販・販売サイト

Copyright (C) 2011-2024 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.