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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂からの「ごめんね」

原 和義

 

 庭木の手入れをしていて、蜂に刺され、皮膚科の病院へ行った。
 長い待ち時間の間に小さな男の子の話し相手になった。
 私が蜂に刺されたことを知ると、自分も刺されたことがあるが、後で蜂さんから「ごめんね」と言って、甘いジュースをくれたよ、と言う。
 詳しく聞くと、お母さんが蜂さんからだと言って買ってきてくれたらしい。蜂蜜だ。
 傍らで若い母親が笑顔でうなずいている。
 母親に寄りかかり、蜂蜜をなめる仕草がとてもかわいい。その仕草を心に残し、早速、帰りに蜂蜜を買って帰った。それに、蜂蜜には、れんげ・菜の花 ・クローバーなどの種類があることも知った。。。田舎で育った私にはこんな花の風景には想い出がいっぱいだ。寝ころんだ春のレンゲ畑、菜の花畑のかくれんぼ、四つ葉のクローバーを見つけて好きな女の子にも渡したことも。
 わが家の朝食は365日食パンにコーヒーだ。次の朝、パンにたっぷりの蜂蜜を塗り、トースターで軽く焼いて食べてみた。甘さの奥が深い蜂蜜と蘇る甘い想い出、口と脳裏で味わう蜂蜜の味はそれ以来、わが家の必需品となった。

 

(完)

 

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