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蜂蜜エッセイ応募作品

停電と蜂蜜

こまぴょん

 

 未明の台風15号の直撃により、我が家は夜が明けてからも、ずっと停電が続いていた。何となくいつものように、後数時間したら通電するだろうと楽観視していた。しかし、午後3時になっても6時過ぎても電気は点かなかった。夜が近づくにつれ、不安で食欲が無くなってしまった。頼りにしたい夫は、前日に仕事場に行ってしまっていた。家の中には、長女と私の二人きりだった。「何か食べた方が良いよ。」と長女に言われたが、飲食をしてトイレに行く事が怖かった。停電で水が出ないからだ。「食べたくなくても、体力を落とさない為にも、何か口にしなきゃな。」そう思いながら、台所に入った時、ふと蜂蜜が目に留まった。いつもトーストや飲み物に入れて口にしている蜂蜜だ。「これならトイレの心配も要らないし、栄養も取れるから良いかも。」そう思い、スプーン一杯の蜂蜜を口に含んでみた。「何て美味しいのだろう。滑らかで喉越しが凄く良いし。」と、思いっきり感動してしまった。蜂蜜は大好きだったから、以前から美味しいとは思っていたが、この時程、感動した事は無かった。何時間も何も口にしなかったからと言う事も有るだろうが、決してそれだけではない。蜂蜜の優しい甘さに、停電の不安も取り除かれたような気がした。心に余裕が生まれると、途端にお腹が空いてくるのが、何とも不思議である。お腹が空いたからと言って、やはり固形物を口にする気にはなれなかったので、蜂蜜を白湯に溶かし、ゆっくり飲んだ。蜂蜜の甘さが口から体の隅 々まで染みわたっていった。「これで今日の夜は、何とかなる。」と、私は奮い立つ事が出来た。その後、停電は翌朝未明に、無事通電をした。蜂蜜が栄養豊富なのは確かだった。何しろスプーン一杯で、私の心と身体を元気にしてくれたのだから。

 

(完)

 

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