はちみつ家　>　蜂蜜エッセイ

蜂蜜とメープルシロップ

ぶち

　メープルシロップ派なんだよな。ホットケーキやトーストにかけるのはもちろんメープルシロップ。だって、メープルシロップのほうが甘くておいしいし、冷やしても固まらないし、安いもん。それに比べて蜂蜜はどうか。なんというか独特な甘み、甘いのは確かなんだけど甘いの向こう側にミツバチとか植物とか自然を連想させるような甘み。それにしばらく使ってなかったらカチカチになってて、使いたいときにうまく出てきてくれない、その割に案外高い。私の家では蜂蜜なんてそんな頻繁に使わないからなにかに使う時にわざわざ買って以来、そのまま冷蔵庫の隅のほうにいるのが多かった。それに蜂蜜はけっこうかわいそうかもしれない。スーパーに行くとほとんどがメープルシロップの近くに置かれてる。同じシロップ系代表ならば多くの人が安いほうを手に取るのではなかろうか。例えるならメープルシロップはざ、女の子って感じで一目でかわいいなって思われてあざといこともできる女子。蜂蜜は同性からも異性からも人気があっていいやつなんだけどなぜかもてない女子。これが私のイメージ。私もバカな男子の一人だった。蜂蜜のよさに気づくまでは。あれはうだるような夏の日。テニス部に所属していた私は炎天下の中試合をし、お腹は減っているのに食欲がわかなくて、水分では補われない空腹と疲労に襲われていた。そんな時母がクーラーボックスからこれ食べなさいと言って出してきたのがレモンのはちみつ漬けだった。そんなんドラマに出てくるようなかわいいマネージャーかよ、蜂蜜の甘さあんま好きじゃないんだよなって思ったけど空腹には勝てづ一口食べた。また、もう一口。そのあとはシロップもなめた。うまい。なんだこの体に元気が染み渡り、暑い中でもバクバク食べれる食べ物は。エネルギーがチャージされ私は試合に勝った。それ以来蜂蜜の栄養素の高さ、母の愛、には感謝している。訂正しよう。やっぱ蜂蜜っていいやつだよな。あんがい好きかも。これが今の私だ。

（完）