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蜂蜜エッセイ応募作品

疲れた喉には優しいはちみつを

青木日向子

 

 私は高校で放送部に所属している。綺麗な声で話せる人になりたい、という気持ちから入部を決意したが、同い年の部員は誰もいなかった。ひとつ年上の先輩に囲まれながら練習に励むのはとても緊張する。日 々の発音練習に早口言葉、朗読のトレーニング。先輩方に手取り足取り教えていただき、少しずつ練習の成果があらわれるようになった頃。乾燥と練習のしすぎが原因で、私は喉を痛めてしまった。「早く先輩に追いつきたい」という気持ちから家に帰ってからもひたすら自主練習を重ねていたのが裏目に出た。無理をしすぎていることに、自分では気が付かなかったのだ。大好きで尊敬している先輩方に迷惑をかけてはいけないと、しばらく部活をお休みすることに決めた。「喉を痛めてしまって、少し部活をお休みさせてください」そう先輩に話すと、先輩は自分のリュックを探り始める。不思議に思って見ていると、先輩は飴を掌に乗せて私に差し出してきた。「はい、これ。マヌカハニーの飴だよ。ゆっくり舐めると喉が癒されるから!」その先輩だけでなく、他の先輩からもはちみつの飴をたくさんいただいた。「夢中になって練習するのはいいことだけど、たまには喉を労ってあげてね」と声をかけてくださり、次の日からもはちみつを使った手作りのお菓子を持ってきたり、おすすめのはちみつドリンクの作り方を教えてくださったりして、そのおかげですっかり喉の調子が回復した。はちみつで労られた私の喉は、今日もまたひとつひとつ声を発していく。私に後輩ができた時も、優しくて温かい先輩いたちのように、はちみつで労おうと決めた。

 

(完)

 

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