渡辺 碧水
【蜂蜜の蜜源を変える(一)から続く】
要するに、蜜蜂が造る蜜だから「蜂蜜」と言う観点に立てば、蜂蜜の蜜源は花蜜と甘露に限らない。条件さえ整えば、蜜蜂は他のものを蜜源に蜂蜜を造るはず。
仮に、花蜜を第一、甘露を第二とすれば、第三、第四、……の蜂蜜も生産される。決して偽物ではなく、蜜蜂が造る正真正銘の蜂蜜は他にも存在し得るわけである。
ただ、国際規格で蜜源を二つと定められているから、他は蜂蜜でありながら蜂蜜ではない(蜂蜜と言えない)ことになる。
本題に入り、背景と課題をまず述べる。
以前に紹介した多数の事例と同様に「未来を創るためのプラットフォーム」を掲げる「アスタミューゼ株式会社」による公開公報技術のデータベースで見付けたものである。
蜂蜜は、咲いている花の蜜を、蜜蜂が採集し蓄積することで生産される。しかし、冬期のように花のない季節には、蜜蜂が生き抜くのに必要な最低限のカロリーを、人間が代用品のショ糖水溶液を与えながら、花の咲く次の春を待つというのが実情である。
したがって、養蜂業者にとって、冬は蜂蜜を生産できない上に、蜜蜂の飼育に費用のかかる季節である。養蜂業においては、冬期のように花のない季節にも蜂蜜の生産が可能な方法の開発が待たれていた。
一方、メープルシロップ(樹液濃縮甘味料)生産のためのカエデの樹液調査が、埼玉県の秩父地方において行われた。その結果、カエデは主に一~三月の間、採取できる程度の量の樹液を生成すること、その生成量は採取の時期によって異なることがわかった。
カエデの種類にもよるが、傾向として、樹液の生成量が少ない初期の樹液は、そのまま人の食用に適した味であり、生成量が多くなる後期の樹液は、甘みはあるものの渋味や苦みが強く、そのままでは食用に適さないものが多いこともわかった。
そして、一~三月は、カエデ樹木から多量の樹液を得られても、残念なことに、外界は低温気象。低温下で蜜蜂は採蜜飛行ができない。
【蜂蜜の蜜源を変える(三)へ続く】
(完)
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