渡辺 碧水
最近、マヌカハニーには、「蜂蜜の王様」に加えて、「液体の金」という讃称もあることを知った。蜂蜜のどんな特性を称賛して「液体の金」と呼ぶのかを調べてみた。
残念ながら、今のところ讃称語の由来を探し当てていない。私なりに推察してみた。
まず、「液体の」とあるから、「金」は固体金属の金(きん)に由来?
かつての通貨、金貨にもなり、比喩表現の「金字塔」や第一位を示す「金賞」などの称号にもなった金と同様に「希少で高い価値を誇る物」を象徴しているのではなかろうか。
マヌカの色や艶が貴金属の「金」に似ていることも一要因にはなっているであろう。含みとして、ミネラルの含有量が多い、高い栄養価をもつ蜂蜜であることを意味する。
つまりは、「奇跡の蜂蜜」などと称される場合も含めて、高品質で貴重 ・希少な蜂蜜であることへの賛辞であろう。
当然、非常に高額で魅力的な蜂蜜で、世界的に人 々の羨望の的となっている。
だが、高級品を絶賛の言葉で形容するときは、宿命のように、物事の陰や裏の面を語る場合にも多用される。
悪事が露呈したり暴露されたりしたとき、その魅惑性が語られ、人間の理性を失わせる魔性をも秘め、偽装や不正を生む化け物として暗躍したことを知らされる。
知名度が上がり続け、需要が急増する中で、マヌカの供給はまったく追いつかない。
高嶺の花(高値の蜜)となり、高額化すると同時に偽造や偽装に拍車がかかる。
ニュージーランド政府によると、既に二〇一四年の時点で、年間千七百トンのマヌカの生産量に対して、マヌカと表示された蜂蜜の販売量は一万余トンだったとされる。
二〇一七年には、イギリスの高級百貨店で劣品質のマヌカが陳列されているのを、検査機関が発見したと報告されている。
「液体の金」の言葉は、われわれに「安価な混ぜ物ばかりでなく、添加物で高級品に化けた物や、不当な高価格、高額統一販売などで甘い汁(蜜)を吸う業者もいると警戒し、宣伝に幻惑されるな」と呼びかけているようにも思う。
(完)
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