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蜂蜜エッセイ応募作品

蜜蜂に黒糖飴のおやつ

渡辺 碧水

 

 黒糖飴が巣枠の上に並ぶ写真が印象深い。
 Webマガジン『リトルヘブン羽音に聴く』四十一号(二〇二〇年四月)で見た。
 この連載誌は、写真家の芥川仁氏が全国の養蜂場を訪ね、豊かな自然の中で蜜蜂と人びとが共生する姿をルポと写真で伝える蜜蜂と人間の物語である。
 この号は、埼玉県深谷市小前田にある花園養蜂場、代表の松本文男氏を訪ねたもの。
 いきなり数個の濃褐色の飴玉に沢山の蜜蜂が群がり舐める写真から始まる。
 説明には「花園養蜂場の秘密の餌かも知れないが、松本さんは人工花粉や砂糖水の他に黒糖飴を与えている。『三、四日で食べきっているね。おやつみたいなもんだよね』(渡辺注:松本氏の談話)」とあった。
 私は、松本氏の人物像を知りたくて、あれこれと調べていた最中であった。
 というのは、埼玉県を主としているものの、地域再生事業や、新養蜂技術研究、同研究研修会、同開発特許権者、養蜂講座講師などの一員として、特にいくつもの高校で養蜂法指導に当たる黒子役の支援者として、松本文男という謎の名前に出合うからである。
 著書もある。学者タイプの人物かと想像したが、全くそうではないとわかった。
 二〇一九年四月、誠文堂新光社出版の本『養蜂大全』などによると、経歴は、農業、建築業、土木業に携わったのち、(子どものころに食べた蜂蜜の味が忘れがたく、本物の蜂蜜を求めるうちに)自分で養蜂を始めるに至った。四十五(?)歳だった。
 常に蜜蜂のため、美味しい蜂蜜を採取するためを考えて、独学で独自の養蜂技術を確立した。行動的な実践者らしい。
 松本氏の養蜂家としての生き方や実践などは芥川氏のルポが如実に物語る。
 基礎は本から、後は試行錯誤、失敗を繰り返しながら自らの経験から学んだそうだ。養蜂技術は独特で、言動は実直で親切心に満ちている。
 信念は「生き物は愛情で育つ」。養蜂技術は、いかにすれば蜜蜂に喜んで貰えるか、そして「なぜなぜと考えて、先を読む」を実践する。
 花咲く春を待つ時期、黒糖飴を巣枠の上に並べて与えることも、松本氏独特の蜜蜂に注ぐ愛情の一つだった。

 

(完)

 

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