渡辺 碧水
【蜂蜜の性状を変える(九)から続く】
八、蜂蜜を低水分含量状に変える技術
蜂蜜は、消化の良い糖類で、体内に速く吸収され代謝するブドウ糖、果糖、単糖類からなる。口当たりをよくする揮発性の成分も含んでおり、素晴らしい健康効果を持つ酵素、花粉、蜜蝋を含むこともある。
しかし、蜂蜜はいずれか結晶化するので、保存期限は長いとはいえない。結晶化しても害はないが、製品が粒状になり消費者には好まれない質感となる。
また、結晶化過程で水分活性が増加し、微生物の増殖を促進してしまう(例:発酵)。通常は液状で保存されるため、食品産業において利用が限定される。
このようなことから、元来の液状の蜂蜜よりも低い水分含量の製品を造る試みが多くなされてきた。例えば、蜂蜜の真空乾燥、凍結乾燥、押出乾燥、薄膜乾燥などである。
蜂蜜は吸湿性であるため、水分を除くことはかなり困難である。例えば、蜂蜜は冷凍乾燥すると泡立つ傾向があり、除去可能な水分量は限定される。
蜂蜜は、糖類が過飽和しているため、コーンシロップなどの糖飽和溶液よりも沸点はかなり低い。よって、熱による蜂蜜の化学的構造変化は、他のどの甘味料や糖溶液よりも急速に進む。
その結果、中に含まれる水を除去するために高温で長時間処理されることになり、蜂蜜の化学的物理的特性や良好風味特性に悪影響を及ぼす。このような問題を解決するため、水分を除去する前に蜂蜜に添加物を加えることがある。
以上のことから、低い水分含量の蜂蜜製品が望まれ、本来の蜂蜜よりも長い保存期間を有し、液状蜂蜜の独特の味と色を維持し、添加物を加えないことが望ましい。
本技術では、本質的に蜂蜜と蜂蜜の通常の構成物から成る製品を「真空乾燥」によって低い水分含量(約一重量%未満)にし、製品の製造や保存に添加物を必要としないものを提供する。(詳細略)
(技術:低水分含量の蜂蜜製品。出願人:アイエーエフサイエンスホールディングスリミテッド。発明者:ロウ ・ジョンエル。公開日:二〇一六年五月十二日。公開番号:二〇一六-〇七三二九一号)
【蜂蜜の性状を変える(十一)へ続く】
(完)
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