渡辺 碧水
【蜂蜜の性状を変える(七)から続く】
六、蜂蜜の液状を脱水濃縮状にする技術
蜂蜜は常温で保存ができる七十九度の糖度が必要である。糖度が足りない場合、従来、常温保存ができるように、低温の熱(六十℃が基準)を加えて、発酵菌の酵母菌を殺したり、水分を蒸発させたり、糖類を加えたりして、糖度を上げてきた。
しかし、これでは、蜂蜜に含まれる酵素やビタミン類を破壊したり、風味を落としたり、混ざり物にしたりする結果となる。
それを避けるには、蜂蜜に熱を与えたり、糖類を加えたりしないで、糖度を上げる方法が求められる。
大規模加工工場では、真空装置によって蜂蜜から水分を抜く方法が用いられるが、その装置は零細な養蜂家には高価すぎる。
本技術は、安価に蜂蜜から水分を抜く方法として、市販されている除湿剤を使用する装置を開発したものである。除湿剤として最も一般的なものは、シリカゲルと生石灰で、どれも入手は容易である。
気密室または気密箱(内部の温度を一定に保つために壁が断熱性を持ち、微小な発熱体と扇風装置を内蔵し、除湿剤と共に蜂蜜を閉じ込めるもので、側面に扉を持つ蜂蜜用濃縮装置)を造る。
この中に、除湿剤と共に、表面積が大きく水分の抜けやすい底の浅い容器に蜂蜜を入れ、その容器を何段も重ねて閉じ込める。
夜や季節によって、内部の温度低下で濃縮効率が落ちるので、温度の一定化を図るための少量の加熱と空気循環装置も必要になる。
除湿剤が内部の水分を吸収すると、内部は気圧が下がり、真空状態に近づく。すると蜂蜜に含まれる水分の蒸発が促され、蜂蜜の濃縮が促進される。
容器内の蜂蜜の水分は表層から抜かれていくので、濃縮は表層から進む。濃縮が進むほど比重が大きくなるので、下層へ沈下し、比重の小さい下層が表層に上がってくる。上層と下層は常に入れ替わり、濃縮は効率的に行われる。
(技術:蜂蜜用濃縮装置。出願人:久志冨士男。発明者:久志冨士男。公開日:二〇一一年二月十日。公開番号:二〇一一-〇二四五五二号)
(完)
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