渡辺 碧水
物事にはそのものが有する特定の性状(性質と状態)があり、その性状の多くは二面性または多面性がある。つまり、一面では長所(特長、利点、美点、便利、…)であっても、他面では少しでも短所(難点、弱点、欠点、不便、…)な面も併せてもつようだ。
健康食品として広く親しまれている蜂蜜の性状も、優れた点ばかりではない。
蜂蜜の性状について、日本規格として公正取引委員会が認定している「はちみつ類の表示に関する公正競争規約」では、定義の一部に「特定の性状(特有の香味)を有し、また、別に定める組成基準に適合したもの」とある。
そして、別表の「はちみつの性状」の規定では「はちみつは、淡黄色ないし暗褐色のシロップ状の液で、特有の香味があり、結晶を生ずることがある(採蜜源となる花等の種類又は保存条件によって結晶の遅速が甚しく異なる)ものである」となっている。
規定の「シロップ状」とは、一般的に濃厚な糖液の総称で、しばしば粘り気(粘稠性)を伴うものを指す。
さらに、組成基準として、細かく「水分二十%以下(ただし書きは省略)。果糖及びぶどう糖含有量(両者の合計)六十g/百g以上(ただし書きは省略)。しょ糖五g/百g以下(ただし書きは省略)。……」などと規定されている。
これらは主に蜂蜜に特有な性状の長所、または長所を保証する基準を示すものであるが、取り扱いの実際面からは短所(弱点、難点、不便)も指摘されている。
興味深いのは、蜂蜜の性状を変化させ補足することによって、短所の克服や低減、または長所の充実や拡大を図るなどの科学的研究がなされ、その成果の発明技術が公開されていることである。
公表されている創意工夫は業界での専門的な技法ではあるが、消費者一般がその内容を知ることは、蜂蜜製品を深く理解し、長く愛食する上で有効だと思われる。
蜂蜜を食べやすくした、扱いやすくしたなどの特許技術の一部を、最近公開のもの中から任意にいくつかを選び、公開公報年月日順に紹介したい。
【蜂蜜の性状を変える(二)へ続く】
(完)
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