渡辺 碧水
私の住む北海道では、新型コロナウイルスの感染者は、終息の方向で一時落ち着きを見せていたが、冬場の二〇二〇年十一月に入り、連日、新規感染がかつてない数を更新し、拡大危機の懸念が強まっている。
改めて、拡大防止のため、警戒段階引き上げ、生活の制限や規制が強化されている。
その一つは「SD=ソーシャルディスタンス=社会的距離」の確保。約二メートルの対人間距離を保つよう注意される。
一般的に、約二メートルの距離を保ちながら、何人もの人が集まっても大丈夫という場面の構図はどんな形になるのだろうか。ふとそんな思いが頭に浮かんだ。
切り絵アーティストで数理学博士の岡本健太郎氏によると、適切なソーシャルディスタンスは次のように考えられる。
円の敷き詰め問題「半径一メートルの円を、互いに重ならないように敷き詰めるとき、密度が最大になるような敷き詰め方を求めよ」と置き換えられる。
途中の説明は省略するが、正解は、蜜蜂の巣に由来する「ハニカム構造」。
言い換えると、蜜蜂の巣は、ソーシャルディスタンスも考慮されて造られている。
「ハニカム構造」については、当「蜂蜜エッセイ」で既に十回以上にわたって考察してきたが、岡本氏も「ミツバチはすごい!?何かと便利で美しいハニカム構造」と題したコラムで「蜂の巣に隠された驚きの構造、それは想像以上のもの」と述べている。
正六角形のハニカム構造は、平面を同じ形、同じ大きさの図形で敷き詰める場合、最も無駄なく敷き詰められ、外からの力には頑丈で、内からの力は均等に分散させることができる最強のもの。機能性は抜群。
岡本氏は、次の点を挙げて称賛する。
巣造りに当たって、蜜蜂は「いかに多くの部屋を、いかに丈夫に造れるか」の最適な構造を経験的に知っているようだ。自然界の数学的背景 ・構造というのはやはり美しい。正六角形は、デザインとして古くから様 々な模様の中で使われてきたし、サッカーのゴールネットも、丈夫さや衝撃吸収の観点から主流になっている。
(完)
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