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蜂蜜エッセイ応募作品

「父が教えてくれた味。」

西本 美緒

 

 「蜂蜜をたっぷりかけて食べると美味しいんだよ。」
 これは私が小学生の頃、父が教えてくれたホットケーキの食べ方だ。
 我が家の休日の朝ごはんと言えば、父の作るホットケーキが定番だった。
 当時の私にとってこの日は特別だった。
 普段キッチンに立たない父がフライパンをふるうというのも新鮮だったし、何より父の作るホットケーキは抜群に美味しかった。
 ふかふかと柔らかく、驚くほどきれいな丸型のホットケーキの表面は色ムラがなくツルンとしていて美しかった。父がフライパンからさっとホットケーキをお皿にうつし、私の目の前に持ってきてくれた時には、思わずよだれがこぼれそうなくらいだった。
 目をキラキラさせながら、何もかけずに黙々と食べ進める私に、父は蜂蜜の存在を教えてくれたのだ。
 最初は、こんなに美味しいのに、こんなに美しいのに、何かを付けたすなんてもったいないと言い張る私だったが、だんだんとどこか気になる存在になっていき、ついに、恐る恐る、少しずつ、ホットケーキの上に蜂蜜を垂らしていったのを覚えている。
 あの頑固な気持ちはどこへいったのやら、一切れ口に入れて、私は一瞬で、蜂蜜の、あの濃厚で奥深い甘さと香りに心酔してしまった。
 世の中にこんな美味しいものがあったなんて!大人はこんな美味しいものを知っているなんて!大人って、お父さんってすごい!とまで思った。
 それからというもの、私は父が苦笑いするくらい蜂蜜をたっぷりとかけるようになった。
 食器棚に置いてある蜂蜜を眺めては、ホットケーキの日まであと何日だろうと指折り数えてしまうほど、小学生の私にとって、蜂蜜との出会いは衝撃的だった。
 今では自分でもホットケーキが焼けるようになったし、最近のいわゆる「パンケーキブーム」でオシャレなものをよく目にするようになったが、私はやっぱり父の作るホットケーキに、たっぷりの蜂蜜をかけるのが一番好きだ。

 

(完)

 

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