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蜂蜜酒は薬の起源?

渡辺 碧水

 

 蜂蜜酒の話題を追っていると、「メディスン(薬)の語源になった蜂蜜酒」などという説明に多く出合う。どういうことだろう。
 「蜜酒」ともいう「蜂蜜酒」は、蜂蜜を原料とする醸造酒で、英語では「ミード」。
 この語に相当する呼称は、国によって異なるが、多くは印欧祖語(インドやヨーロッパ民族の諸言語に共通の祖先として理論的に構築された仮説上の言語)で「蜂蜜」を意味する語に由来する。
 「薬」は英語で「メディスン」という。この語が蜂蜜酒を意味する語を語源としている、とされる。厳密には、ラテン語に由来する言語学上の変遷があるらしいが、ややこしい話になって、私の手には負えない。
 「薬の語源は蜂蜜酒」を「薬(薬効)の起源は蜂蜜酒」と言い換える見方はどうか。
 古くは、ギリシア神話に遡るようだ。
 二千年前の話として、ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥスから長生きの秘訣を問われた百歳の長寿者は「内には蜂蜜酒、外にはオリーブ油」と答えた、と伝えられている。
 蜂蜜酒に関連して語られることの多い愛飲者の一人、イギリスのエリザベス女王(一世)は、七十歳(十六世紀当時は長寿)で死ぬまで、瑞瑞しい美しさを保っていたという。
 このころ、貴族の間では、生薬(スパイス)や香料(ハーブ)を蜂蜜に混ぜた蜂蜜酒も造られていて、「メセグリン」と呼ばれた。
 この種の蜂蜜酒は、血行がよくなり、身体が温まって熟睡でき、体力が快復する効果もあり、若返りのためや強精酒としても好んで飲まれていたらしい。つまり、滋養強壮、薬効が認められていたと言えよう。
 このことから、「メセグリン(薬効ある蜂蜜酒)」が「メディスン(薬)」の起源になったと判断できる。
 また、混ぜて造るという基礎的な料理行為の観点からは、蜂蜜酒は「飲み物」の先駆けとみなすこともできそうだ。
 さらに、蜂蜜酒の製造は、空腹を満たす以上の、酔いを分かち合うという動機と目的をもたらした。酩酊による非日常感は、人と人の絆を強めるといった霊的交流や宗教、儀礼行為へとつながったとみられる。

 

(完)

 

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