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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

蜜蜂の献身

木山 満

 

 ある日の昼休み食堂が比較的空いていて、ごく親しい者が寄り雑談の場所となった。勤務中は私語は禁止されているので、この一時は非常に大切で楽しく貴重な時間である。
 朝食のパンに付ける物について話が弾んだジャム、チーズ、卵焼き、蜂蜜。私はもっぱら、安物のジャム党。何時か娘の家で蜂蜜を食べたことがあり、美味しくて、とても気に入ったが価格面で妥協出来なく高嶺の花と諦めた。私は蜂蜜党のAさんに「いいわねえ、高価なものを毎日食べられるなんて」。「いや儂は自分で作るから只や。市販の物より美味いで」。私の目がキラリと光り、そこから蜂蜜談義が始まった。
 畠の中に巣箱を設置しておけば蜂が巣を作って一匹の女王蜂と数万匹の働き蜂が暮らすようになる。そして働き蜂(蜜蜂のこと)が花から蜜を集めて来る。それを人間が搾取する。蜂は盗られたのも気付かず空になったら又せっせと外に蜜を取りに行く。
 私はついに泣き出してしまった。蜂が可哀想で、気の毒で人間に腹が立ったのだ。「冬花が無い時はどうなるの?」。涙の目でAさんを睨んだ。冬は蜂が生きて行けるように砂糖を入れてやるのだそうだ。ホッとして胸の溜飲が少し下がった。けれども何時までも涙が止まらなく自分でも困った。
 「おいおい、蜂が可哀想と泣かれてものぉ」
 Aさんが怒った声を出した。丁度その時チャイムが鳴って、この話は終わった。
 今や蜂蜜は医薬品、化粧品等々、様々な分野で画期的に社会に貢献している。そのような記事に出合う度、私は蜜蜂の純真無垢な献身に心から拍手を送っている。

 

(完)

 

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