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ミツバチと共に90年――

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養蜂家の言い分

ユトリ呂

 

 わたしは、二十数年前に農薬による航空防除の会議に出席する機会がありました。参集者は、農家の代表や地元農協それに航空会社や農薬業者などかと思っていましたが、他に村役場、保健所、自治会、保育所や小中学校、農業共済団体それに架線管理の電力会社や交通規制の警察署などと、意外なほど広範囲にわたる関係者を揃えていました。
 会議はそれぞれの立場で、資料に基づき順次説明がありました。議長が互いに連携を密にして事業が安全に遂行できるよう、手慣れた様子で進めていきました。そして、会議を閉じようとしたとき、ポロシャツの年配者が手をあげました。年配者は、参集者を見まわしてから穏やかな口調で話しだしました。
 「今までの議論は、手続き上のことでした。事故が起こらなければ、安全と言えるのでしょうか。わたしは、ミツバチを飼っている者です。この事業は、ミツバチやわたしらの生活にどれほどの影響を及ぼしているのか、わかってもらっているでしょうか。見た目には変わらないようですが、この防除によってミツバチの体力は相当に消耗されるのです。その結果、採蜜能力が衰えるばかりでなく、繁殖能力が大幅に奪われてしまうのです。繁殖能力を奪うということは、ミツバチの生命を奪うことです。わたしらの生活を脅かすことにもなるわけです。どうかこのことを、是非理解してもらいたいのです……」
 ミツバチ業者は、言わなければ伝わらないこと。言っておかなければ伝えられないことを、切々と説いていくのでした。和やかな会場は一瞬にして静まりかえり、誰もが押し黙ったまま聞きいっていました。わたしも効率だけを追い求めて、大切なものを置き去りにしている実態を突き付けられる思いに、深く胸を突きました。
 最近はどうなっているのでしょうか。ミツバチ業者の思いが通じ、環境にやさしく安全な事業に転換していることを望んでいます。

 

(完)

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