山崎 和則
認知症の母を介護するため会社を辞めた。
不思議と、生活にゆとりができた。
ドリップ式のコーヒーを淹れたり、手作りパンなども挑戦してみた。
大瓶のハチミツがあったので、パンケーキを作ってみた。
その昔は母が作ってくれたが、今では作るための手順を知らない。
ハチミツの大瓶を空けたのは何年ぶりだろう。
十年以上開けていないのではないか。フタが開けにくい。
ひさびさに、そのハチミツを塗って、パンケーキを母にあげた。
母は無表情だ。が、その昔、母が作ってくれた。
笑顔の母が作ったおやつを、今頃になって、ゆっくりと思い出した。
(完)
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