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蜂蜜エッセイ応募作品

スラウェシの蜂蜜

比企 紀和

 

 私の朝食はバターロール、ハム、サラダ、紅茶、が定番だ。数年来、紅茶には蜂蜜を入れている。この一杯が何とも言えず、力をあたえてくれる。
 六〇代でインドネシアのスラウェシ島に赴任したことがある。州都のマカッサルにいた時、少し離れた高地の村に避暑に誘われた。狭い山道をライトバンでくねくね登ったその村は涼しく、眺めもよかった。ある朝早く、村人が「蜂蜜とり」に誘ってくれた。せっかく上ってきた高地なのに、山をどんどん下り、鬱蒼たるジャングルのような森に入り込んだ。道なき道を木の枝を落としながら、草を踏み、ただひたすら歩かされ、くたくたになったころ、草木が途切れ、空がみえた。その生い茂った樹木の上の方に、お茶碗を逆さにしたような巨大な蜂の巣があった。村人はまわりから枯れ木を集めそれをもやし煙で蜂を追い払った。自分は疲れ切って、ただただ彼らの動作をみるだけだった。
 一人の男が木に登り、刀で巣を地面におとすと中からどろりとした蜂蜜が水のようにながれでた。何本もの持参のボトルに蜂蜜を集めた。流れた蜂蜜をなめると、甘くてさっぱりとして、たちまち疲れ切った体に活力がみなぎるようだった。2リットル入りのボトルをお土産にもらい、やっとの思いでそれを抱え、ジャングルを出ることができた。
 それ以来、日本へ帰ってからも、蜂蜜は欠かせないものになった。朝の蜂蜜入り紅茶はスラウェシの思い出と共に一日の元気をあたえてくれる。

 

(完)

 

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