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蜂蜜エッセイ応募作品

人差し指を瓶に突っ込む。

木村 達人

 

 甘いものを口の中が欲している。
 いつもの戸棚に甘いお菓子が見当たらない。おせんべいはあるけど、ちょっと違う。

 

 母が整理して並べている調味料の戸棚の奥に瓶が置いてある。これを使うときは、母がホットケーキを作ってくるときくらいだ。
 たまに日曜日の朝はホットケーキを作ってくれる。私は卵と牛乳と小麦粉と砂糖、ふくらし粉が入ったボールを泡立て器で混ぜるのを手伝う。
 使い込まれた黒いフライパンで焼くと、タネが張り付いて、なかなか絵本のような綺麗な形で焼けない。
 皿に乗せられた熱 々のフニャフニャホットケーキにマーガリンを乗せる。

 

 瓶は固くて開かなくて父にいつも開けてもらった。大げさに「えいっ」と蓋を開けてくれるのがホットケーキを食べる前の儀式みたいなものだった。

 

 最近は母は日曜日の朝からパートのお仕事に行くようになって、もうホットケーキはずっと食べてない。

 今度は私が作ろうかな。

 瓶にまぶされた誇りを拭い「えいっ」と力を込めると不思議と瓶は開いた。

 

 人差し指につけた蜂蜜を舐め、レシピを思い出した。

 

(完)

 

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