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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

ねえねえ、春だね

渡会 五郎

 

 「ピンクじゃない、赤のお花がいいの!」と、孫が喚く。
 息子はミュージシャン崩れの会社員、嫁は元漫画家。二人の血を継いだ孫も右脳ばかりが発達していて、我が家ではリビングのテーブルに置く花の鉢で季節の移ろいを楽しむのだが、私がいかにも春らしいと思って準備した桜草が気に入らないのだ。出窓に飾ってあった赤いカランコエの花を自分で選び、その脇に何を思ったか、ピエロの人形を置くと、七歳は満足そうな笑みを浮かべた。
 孫の感性で模様替えされたテーブルに、なる程と私は感心した。花の赤とピエロの赤い鼻がちゃんとコーディネートされているではないか!
 けれど、「うん、なかなかいいね。ピエロさんが『ねえねえ、春だね』と囁いてるみたいだ」と褒める私を「お人形さんはしゃべらないの!」と見上げる孫に左脳も捨てたもんじゃない、論理的なところもあるのだとニンマリする私。「お魚は目を開けたまま眠るの!」と、先日も目を閉じて眠る魚の絵本に癇癪を起こした孫だった。
 そんな気難しい孫は当然のことながら食べ物にも頑固だ。
 「トーストには蜂蜜が一番おいしいの!」と、マーガリンやジャムには目もくれない。その日の朝も孫のパンからタラリとこぼれそうな蜂蜜に花咲く野原のミツバチの巣箱を想い描きながら、ピカピカの一年生になったばかりの孫が学校でうまくやっているか爺は心配で仕方ない。

 

(完)

 

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