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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

スイートハニー

ホシノユカリ

 

 「見て、綺麗!蜂蜜色の満月!月の美しさはロンドンで見ても、日本で見ても変わらないね」ベランダでロンドンの夜空に浮かぶ満月にうっとり。夏休み、ロンドン駐在中の恋人の元へ遥々会いに来たのだ。
 「日本では『月が綺麗ですね』は、『I love you』って意味なんだろ?って、ロンドンにも留学していた夏目漱石が言ってたぞ」得意な彼に私は感心する。
 「そうなの?相変わらず物知りね」研究者の彼はとかく博識だ。月が余りにも綺麗だったから、肌寒かったのに薄着で夜遅くまでベランダにいたせいか、翌朝目覚めると喉と頭が痛い。体もだるい。
 「夏風邪だな。薬飲んで寝てろよ」どうしても仕事を休めない彼は、私を心配しつつ後ろ髪を引かれながら出勤した。せっかくロンドンまで来たのに最悪。海外で体調を崩し、部屋に一人残され、心細さで泣きそうだった。でも薬が効くと、いつの間にか眠ってしまった。暫くして気配を感じて目覚めると、枕元に彼が立っていてびっくり。「あれ?もう帰ったの?」
 「昼休みだから抜けてきた。気分はどう?」
 「朝より楽になった」わざわざ私のために戻ってくれたんだ…思わずじんわり。「ちょっと待ってろ」と彼は部屋を出た。数分後、戻ってきた彼の手にはマグカップ。「ハニーレモンジンジャー作った。蜂蜜と生姜は喉に効くし、風邪も治るぞ」
 「嬉しい、ありがとう」彼の優しさに感激しつつ、早速一口。蜂蜜のほんのりした甘さとレモンの酸っぱさ、生姜のホロ苦さが絶妙。「凄くおいしい!」と自然と笑顔に。「俺がついてるから、何も心配しないでゆっくり休め」そう頼もしく言ってくれた彼。昨夜の蜂蜜色の満月を思い浮かべながら、蜂蜜の甘い後味と彼の甘やかな優しさの余韻に浸り、ぐっすり熟睡。お蔭で夜にはすっかり回復。…あれから数年経つ。
 …で、今はどうなったかって?一年後に帰国した彼は私に「月が綺麗だね」と回りくどいプロポーズ(笑)。今でも私が風邪を引くと、「スイートハニー」となった妻のために、夫はあったかいハニーレモンジンジャーを作ってくれます♪

 

(完)

 

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