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ミツバチと共に90年――

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お守りはちみつ

あや

 

 冷蔵庫を買い替えることにした。結婚して三〇年。3回目である。
 電気屋さんが運び入れてくれる時間を確かめてから、冷蔵庫の中のものをテーブルに出していく。冷凍食品は、三日前から食卓に登場させ、ほぼ使い切ってある。だから、冷蔵室と野菜室が主である。
 卵、めんつゆ、トマトジュース、みそ、ヨーグルト、チーズ。醤油の小袋の多いこと。賞味期限が切れて2年も経っているベーキングパウダーが、冷蔵室の一番上の棚の隅から出てきた。次に、野菜室に移る。レタスの下敷きになった、ぶよぶよのきゅうりに触って驚く。小さいタッパーも出てきた。「あ。」思わず声が出た。うわあ、懐かしい。
 これは、三〇年前のはちみつだ。
 結婚して1年目に娘が生まれた。冬に生まれたので、風邪をひいては大変、と心配した。しかし、ひかせてしまった。鼻がつまって苦しそうな様子を見て、おろおろした。その時、実家の父が(里帰り出産だったので、しばらく実家にいた。)車で五〇分の所に住むAさん宅に行き、はちみつをもらってきた。食パンに塗って食べたら、何枚分大丈夫かなあという量だった。「これ、何。」と問う母に、
 「これは、ジガバチの特別なはちみつで、小さい子の鼻が詰まった時に、これを鼻の入り口に塗ると、鼻のつまりが抜けるそうだ。」
 と、父は得意そうに言った。
 
 その時はもちろん、そのはちみつをありがたく使ったはずだが、そのあとは冷蔵庫の隅で忘れられていたのだろう。

 今は、三代目の冷蔵庫の野菜室に、そのはちみつはある。

 

(完)

 

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