はちみつ家 > 蜂蜜エッセイ

ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

Suzuki Bee Keeping

サイトマップ RSSフィード
〒382-0082 長野県須坂市大字須坂222-3

 

蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜のハーモニー

奈緒

 

 一月最後の土曜日のこと。通常、土曜日は学校が休みだが、この日はクラス全員が朝早くから教室に集っていた。窓の外は雪が降っている。中学で初めての合唱祭本番を迎えた。課題曲の「雪の降る街を」がピッタリの朝だ。
 「最後の練習をしよう」と指揮者担当のクラスメイトが主導する。三〇分くらい練習した。本番までの時間はあとわずか。
 「レモンの蜂蜜漬けを持ってきたよ」
 音楽部の女子が、大きなタッパーを取り出した。タッパーにはたっぷりと蜂蜜が入っていて、薄切りにしたレモンが広く敷き詰められている。この日のために、蜂蜜にレモンを漬け込んだそうだ。クラス全員、四五人分。レモンは、蜂蜜のなかでハーモニーをうみだしているように見えた。一人1枚ずつ、口にした。ほんのりと甘い蜂蜜の香りが、レモンの果汁と混ざり合って、口のなかに広がる。レモンの酸っぱさは、蜂蜜の甘さで緩和されて心地よい。クラスのみんなと同じ味でつながった。合唱祭では入賞できなかったが、クラスメイトとの思い出ができた。あの日の蜂蜜は、緊張感をやわらげてくれる、大切な存在だった。

 

(完)

 

蜂蜜エッセイ一覧 =>

 

蜂蜜エッセイ

応募要項 =>

 

はちみつ家メニュー

Copyright (C) 2011-2018 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.