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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜ショック

くり

 

 お歳暮の中にその蜂蜜セットはあった。大きな瓶とハニーパッカー。
 小学生だった私は珍しくて便利なその道具にわくわくしたものの、家族でも日曜日のホットケーキに使うぐらいで、毎年送られてくる瓶が戸棚の中でゴロゴロ転がっていた。しかしそのおかげで私は、蜂蜜と言えば当然のようにその味で育った。
 そうして十八歳の春、上京して自炊の強い味方ホットケーキを初めて焼いた日にそれは突然やってきた。
 スーパーで買った蜂蜜が食べられないのである。ヨーグルトにかけてもだめ。蜂蜜レモンもだめ。
 カルチャーショックならぬ蜂蜜ショックを受けた私は、慌てて母に送って欲しいと電話した。母は、そんなに蜂蜜好きだっけ?と言いながらも、ゴロゴロある蜂蜜を喜んで送ってくれた。届いてすぐ、私は大きなスプーンで蜂蜜を舐めた。ああこれだ!!なんて美味しいんだ!!と、初めて誰かわからないお歳暮の送り主に心から感謝し、その日から自称蜂蜜好きになった。
 自称蜂蜜好きになったからには、ホットケーキやヨーグルトにはたっぷりと、カレーも敢えて辛口にしてこれまたたっぷりと、蜂蜜レモンに至っては、わざわざ国産のレモンを買ってきて漬けていた(時 々風邪気味の人に自慢げに配ってもいた)。となると、その消費量も凄まじく、最初はホイホイ送ってくれていた母も、ある日とうとう、ちょっとこれすっごく高いらしいよと言い始めた。うすうす感づいていた私は、うんうん、だから私これしか食べられなくてさーとゴマをすってその場は乗り切った。しかしそのうち、うちでも使うからと送る量が減り、本当にこの蜂蜜美味しいわねーと言い出す頃には、送り渋るようになってきた。とはいえ、私も、余ってたらでいいんだけどさ、などど下手作戦を駆使して今日までどうにか十五年も蜂蜜の確保に成功している。
 ところが先日、母の口から、叔母ちゃんも最近欲しいって言うのよねなどど言う思わぬ刺客が飛び出してきた。やっぱり美味しいもんねっと努めて平静に返答しつつ、心中は、この戦いには負けられないわと第二次蜂蜜ショックが渦巻いている。

 

(完)

 

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