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蜂蜜エッセイ応募作品

蜜蜂乱舞

関根 和人

 

 蜂蜜 ・ ・ホットケーキ、紅茶、ヨーグルト ・ ・
 大抵、そんなイメージが連鎖するのでしょうが、私は蜂蜜と言うと、三〇年ほど以前に読んだ小説、吉村昭著「蜜蜂乱舞」を想起します。
 映画化もされましたが、敢えてそちらは観ておりません。
 花の蜜を求めて日本列島を縦断する養蜂家を主人公とした本作は、細緻な情景描写により、蜂の羽音や花 々の香を感じられる秀作でしたので、読了後、私の中では十分映像化されていました。
 本小説作中随所に描写されている、蜜を懸命に集める蜂たちのストイックさも実に健気ですが、いくら生き物相手とはいえ、養蜂業の生業としての苛烈さも印象的でした。
 渋滞に巻き込まれた車の荷台では、熱気がこもり蜂に重大なるダメージを与えてしまう。
 それを回避する為の鬼気迫る攻防 ・ ・
 およそ、蜜蜂 ・ ・春の初め、黄色く色づいた菜の花にとまる、あの可憐な虫のイメージと少しばかり違う、凄絶な人との共存が作中にちりばめられていました。
 当時、本作に感銘を受け、養蜂に惹かれて図書館で蜜蜂の生態などを検索したものでしたが、働き蜂について、実はそのほとんどが雌で、雄は交尾の役目を終えると、巣から追い出されてしまうとか ・ ・
 これには、同性として少 々切ない性を感じましたが、これも種族が存続するための自然の摂理なのでしょう。
 しかし神様は、なんと怜悧な法則を与えたのかと、やはり、雄蜂に同情を禁じ得ませんでした。
 私自身、少し時代を遡れば、初老と呼ばれる年齢となり、今のところ、巣から追い出される憂き目には至っていないものの、決して他人事ではありませんから、今年も菜の花を巡る可憐な蜂の姿を見ては、蜂の世界も人の世も、蜂蜜のように甘くは、ないのだな、と思うのでしょう。

 

(完)

 

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