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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

ハチミツと蜂じいちゃん

ハチミツ兄妹

 

 ハチミツとの最初の出会いは、まさに「泣きっ面に蜂」だった。六才の頃だった。親戚と家族でキャンプに行き、森林で初めてカレーを食べた。当時、好き嫌いの多かった私はからいカレーに、涙腺を刺激され大泣きした。食べること自体へ興味もなく、がっかりした両親をカレーとともに置き去りにして、遊びに行った。ひぐらしが鳴く、蒸し暑い夏の森林にはいろいろな虫がいた。たまたま、いとこがミツバチの巣を見つけ、いたずら半分、せみ取り用の網で突くとミツバチ防衛隊が出動してきた。小学校高学年のいとこは、逃げ足がはやく、あっという間に置いて行かれた。「待ってよー」と叫ぼうとした時、根太に足をとられて前のめりに転び、防衛隊に顔を狙い撃ちされた。恐怖感のせいか、五、六匹のミツバチが百匹以上に見えたものだ。それから、ミツバチを恐怖の存在として認知するようになった。時間が経過し、小学生に入学した年の夏、母方のじいちゃん家へ遊びにいった。ある日、「おい、ヒロ坊。ちょっと手伝ってくれ」とじいちゃんは『物 々しい恰好』になった。普段から口数が少なく、たまに喋ると主語を抜かす癖があった。『何を』手伝うのか教えてくれず、『物 々しい恰好』にもさせてくれなかった。何かいやな予感がした。大きい背中を見上げながら歩いていると、『蜂爺』と近所の子供たちから呼ばれていることを思い出した。木目がはっきりした、積み重なった箱がおかれている場所にいくと、「そこで見てなさい」とじいちゃんは一番上の木箱を開けた。たくさんのミツバチがいたけど、じいちゃんを置いて逃げるわけにはいかなかった。二番目の木箱と切り分けてから、じいちゃんはにこっと笑った。「ハチミツだ」。自分の指につけて私の口元まで持ってきた。甘いというと、じいちゃんはうなずいた。じいちゃんは、ハチミツの味が分からなくなっていたのだと後で知った。

 

(完)

 

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