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蜂蜜エッセイ応募作品

山の奥の蜂蜜

木谷 崇

 

 私がケアマネージャーの仕事をしていた時、山の深い奥の方にたった一人で暮らしている高齢のおばあさんがいた。細い坂道を軽自動車で登って、ガタガタ振動を感じながら家までの道程を行く。おばあさんはよく離れの畑で土を耕している。会うと柔らかい笑顔を見せてくれる。
 ある夏の日、私はおばあさんの家を訪ねた。おばあさんは山の上で少し涼しいとは言え、畑仕事をしていた。おばあさんは私に気付くと汗をかきながら手を振ってくれた。暑いから気を付けて、と私は言っておばあさんを車に乗せて畑の下にある家に向かった。
 玄関の縁台に座って奥に行ったおばあさんを待っていると、おばあさんはやって来て瓶をとん、と置いた。中には蜂蜜が入っていて、おばあさんが揺らすと水気が多い様にすーっ、と揺れた。
 話しによると、業者が養蜂をするためにおばあさんの山の土地を借りたので、そのお礼に蜂蜜を沢山くれたということだ。養蜂箱を山の中、徐々に移動させて行くらしい。
 おばあさんの住む山には日本蜜蜂もいて、季節になると群れで屋根裏にやって来るらしい。遠くから音がして来るのが分るとのことだ。養蜂業者が扱うのは西洋蜜蜂らしいが。
 私は一瓶を頂くことが出来て、自宅に帰ってからスプーンですくって舐めてみた。身体が痺れる様に幸せになったのを覚えている。それからは、ホットケーキを作ってたっぷりかけてみたり、朝食のパンに垂らしてみたりして蜂蜜は無くなって行った。その間中、私は幸せだった。美味しい蜂蜜は人に元気を与えてくれる力があるのだと思っている。私の幸せの中にある一つの思い出だ。

 

(完)

 

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