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蜂蜜エッセイ応募作品

巣蜜

井口 泰子

 

 十五年前、私はニュージーランドのトレッキングツアーに参加した。
 十日目の最終日、数人で買い物に行った。ニュージーランドといえば蜂蜜。店内の棚には、白い容器に入った蜂蜜がびっしり並べられていた。日本では想像できない種類と量。
 私はどの商品にするか迷った。日本まで持って行くのだから、容器は強固でなくてはならない。私が選んだのは、プラスチックに入った巣蜜。
 私はこの時、初めて巣蜜を見た。蜂の巣の小さい六角形がびっしり綺麗に並んでいる。白い一本一本の細い線が華奢だ。だが、しっかり繋がって巣を作り上げている。試食はできず、味は帰国後のお楽しみ。私はこの商品を五個買った。
 日本に帰り、巣蜜を親しい人へのお土産として三個取り、わくわくしながら箱を開けた。ニュージーランドからはるばる運んできた巣蜜。形は全く崩れていなく、白い細い線の蜂の巣は健在。夫が「おー」と声を出した。夫は巣蜜を見るのも食べるのも初めて。巣蜜を間に置き、二人でスプーンを持ち食べ始めた。高級な和菓子のようなほのかな甘さ。二人の満面の笑み。
 最後の一箱は、数日置いてから食べようと思っていた。しかし、私たちは待ちきれなく、次の日、競うように食べてしまった。夫曰く
 「もっとたくさん買ってくればよかったのに」
 言われるまでもない。夫以上に私だって感じていた。
 あの日以来、巣蜜は口にしていない。ニュージーランドの雄大な自然と巣蜜は心の奥に閉まってある。

 

(完)

 

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