夢子
小さな頃に好き嫌いをなくす、ということは、大事なことだ。私の母も幼い時に苦手なものがあった。それは、トマトだ。
今のトマトと違い、昔のトマトは、独特の青臭さがあり、それが苦手を作っていた。
祖母(つまり母の母親)はどうにかして、子どものうちに食べられるようにならないか、考え、ある日トマトにハチミツをかけて食卓に出してみる。
母がおそるおそる口に入れてみると、ハチミツのいい香りと、程良い甘味が加わり、食べることができた。
それ以来、家でハチミツがけのトマトを食べ続けていたら、いつのまにか苦手感がなくなり、今では何も付けなくても食べることができている。
自分の母親がしてくれた苦手克服法を友達に話したら「トマトにハチミツかけるなんて、デザートじゃないんだから」と言われたという。
でもそのデザート感覚がなければ、未だにトマトは食べられなかったかもしれない、と私は思う。ハチミツは、母にとって、好き嫌いをなくしてくれた大事な存在だ。
(完)
ツイート
蜂蜜エッセイ一覧 =>
蜂蜜エッセイ
応募要項 =>
Copyright (C) 2011-2025 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.