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中国アカシア蜂蜜視察紀行(11)《またマーボー豆腐?》

《またマーボー豆腐?》

いよいよ甘粛省に入った。

あれからずっと走り続けて、もう正午を回っているというのに、目的地にはいっこうに到着しない。

その後、ようやく高速を降りたのは13時過ぎで、そこは甘粛省慶陽市寧県和盛という場所で、ここで少し遅めの昼食をとることになった。

入った店の名は、
『特色中餐』―――

おそらくこの辺りでは最高級の飲食店なのだろうが、「特色」のある「中(華料理)」を「餐=飲食する場所」とは、昨晩の経験からすると、なんとも怪しげな名前である。

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昨晩同様、小洒落た部屋に通されるとすかさずリュウさんが、
「お酒は何を飲むか?」
と聞いてきた。

(君たちは昼間っから酒飲むんか~い!)

ケンちゃん社長は
「日本には昼間からお酒を飲む習慣はあまりない」
と丁重にお断りしたが、そこで出てきた料理がまた山椒に黒酢に唐辛子の三拍子そろった超豪華な料理だった。

次々に並べられる中には、確か昨日も食べたマーボー豆腐が置かれている。
総一郎さんによれば、
「昨日食べたマーボー豆腐とはこんな素材を使ってこんな味付けをしていてこんな風に違う」
と得意そうに語っていたが、食べてみたら、

(どこが違うんじゃい!)

と、味の違いがまったく分からないはちぶんだった。

「総一郎さんって本当にお詳しいのね!」
と、フォローしたのはキャリーさん。
さすがっ!

ファイル 632-2.jpg
↑見た目の美味しさと味が一致しない料理の数々

一方、左45度福原愛ちゃん似のワンさんは、よほど話し上手かおしゃべりなのか、終始楽しそうに談話をしていた。
「次に来る時は中国語を勉強して来よう!」
と、密かに思うはちぶんである。

やや緊張した面持ちで、我々と一緒に食事をする5、6名の現地同行の青年たちがいた。

聞けば全員蜂蜜関連の仕事をしている方たちで、中にまだ20代前半のほっそりした小柄なひとりの青年がいた。

ノッポさんが、
「彼がこれから行く養蜂家の息子さんです」
と教えてくれた。

名を王松さん。
現在、四川省で蜂蜜専門店を経営しながら卸の仕事をしているという。

後で分かったことだが、彼は今日我々が養蜂の視察に来るということで、昨晩、養蜂の状態を確認するため両親のいる山里に登ったのだそうだ。
ところが険しい峠道、おまけに街灯などない真っ暗な中、車の車輪が溝にはまって抜けられなくなってしまった。
仕方がないので車を放置し、そこから何キロあるか知らないが、独りトボトボ歩いて両親の生活しているテントに向かったという。

まったく申し訳ないことだが、我々の視察の背景には、こうして人知れず働いている人たちがいると思うと、けっして無駄にはできない時間なのだ。

昼食を終え、いよいよ下道を養蜂家のいる場所へ向かう。

まだ舗装などされていない道路沿いにはなんとも懐かしい、はちぶん的には大好きな中国の素朴な民家が並んでいた。

不思議に思うのは、その家々の玄関には大きな文字が飾ってあることだが、ノッポさんに尋ねたら、
「あれは春連(チェンレン)という風習です」
と教えてくれた。

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春連とは春節(中国の旧正月)を祝うため、家の門の両側や入口の扉などに文句を貼る風習のことで、日本の短歌のように上の句と下の句があり、門の左側には上の句を貼り、右側に下の句を貼り、中央には“福”などの縁起の良い文字を貼って春の訪れを祝うのだそうだ。

この習わしは紀元前から続いており、昔は木で彫刻されたものを、朝廷とか地位の高い家でしか行っていなかったようだが、宋の時代頃から紙に変わって、その後各地へと普及していったそうである。

今から1500年前というから、やはり日本とは歴史のとらえ方の感覚が根本的に異なっている。

悠久の歴史を持つ中国、万歳!

である。

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