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中国アカシア蜂蜜視察紀行(3)《中国東方航空MU292便》

《中国東方航空MU292便》

西安直行8時50分発の中国東方航空MU292便―――

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いよいよ登場手続きだ。

チケットを受け取り荷物を預け、別に悪いことをしているわけではないのに、セキュリティーチェックをくぐるところではいつも緊張してしまう。

案の定、社長がくぐったところで「ピーッ」と鳴った。

まるでケンちゃん社長は犯人扱いでもされるようにボディーチェックを受けていたが、どうやらベルトの金具がひっかかったらしい。
タバコ吸いのはちぶんはライターを取られただけですんだが、ここから西安に着くまでタバコは吸えない。

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飛行機に乗り込むときは、いつも
「どうか墜落しないでください」
と真剣に心の中で祈る。
この鉄の塊が空を飛ぶことなどいまだに信じられないのだ。

そして座席に座ったらすぐさまシートベルトを装着し、次に必ずタイプのスッチーさんを見つけることにしている。
万が一飛行機が落ちた時、今生の思い出に好きなタイプの女性に抱きついて死のうと考えているからだ。
もう死んでしまうのだから、人間として生きた証しにそれくらいの煩悩を残しても罰は当らないだろう。

ところが、あいにくタイプの中国人スッチーさんを見つけることができなかったはちぶんは、ますます不安をつのらせることになるが、あとで聞いた話では、ケンちゃん社長はひとりのスッチーさんをひどく気に入ったようで、どうもはちぶんとは好みのタイプが違うらしい。
例えば、似たような美人系の女優さんでいえば、ケンちゃん社長は北川景子が好きで、はちぶんは深田恭子が好きなのだ!

(身の程知らずのお前たちはいったいどんな話をしとるのじゃ!)

やがて飛行機は轟音とともに、かつての唐の都長安に向かって飛び立った。

しばらくするとスッチーさんがやって来て
「機内食は何を食べるか?」
と聞いてきた。

もちろん言葉は中国語だから、とても理解できるはずもないが、前方から順に機内食を配り始めたので、おそらくそう言っているのだろうと思っただけだ。

はちぶんは日本語は得意だが中国語は
「ニーハオ」

「シェーシェー」
以外まったくしゃべれない。
おまけに学生時代の英語の成績もけっしてほめられたものでなく、ましてヒアリングなど大の苦手なのだ。

優しいスッチーさんは、僕が中国語も英語も理解できないことを知ると、日本語で
「ブタ?ウシ?サカナ?」
と言ってくれたのでようやく「魚」と答えることができた。

この優しいスッチーさんとなら死ねるかな?

と彼女の顔を見たが、やはりはちぶんのタイプではなかった。

機内食はあまりおいしいものではなく、このあと食事に関しては、悪夢のような料理が続くことを、この時はまだ社長もはちぶんも知らない。

3時間ほど経って飛行機が着陸したのはなぜか上海空港だった。

てっきり西安直通だと思っていたのはノッポさんも同じで、4人は係員の誘導に従って空港内を移動しはじめた。
どうやら上海で入国手続きをするらしい。

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パスポートを見せて無事中国に入国を果たすと、名古屋から乗った十数名ほどの日本人は、肩にシールを貼られてあちこちと連れまわされた。

どこをどう歩いたかなどまるでわからなかったが、やがて再び飛行機に乗り込むと、今度こそ西安へと飛び立った。

ちなみにこの時もまたセキュリティーチェックで社長は犯人扱いされていた。どうやら本日はケンちゃん社長のラッキーデイのようだ。

気休めに持ってきたケータイの時計を見れば正午過ぎ。
西安に到着したのは日本時間で14時55分のこと。
夜通し運転した疲れが出たのか、機内では墜落の心配も忘れてぐっすり寝ることができた。

人の流れに乗って手荷物引渡場へ向かおうと歩き出したはちぶんを、意味の分からない言葉で呼び止める声がした。
振り向けば「こちらへ来い」と手招きする中国女性の係員がいる。

そこに集められたのは上海空港で肩にシールを貼られたメンバーで、名古屋から西安に行くつもりが上海で降ろされた十数名に違いない。
どうやら我々だけ別扱いらしい。

ところが一人足りないことに気付いた係員は、我々をバスに残して探しに出て行ってしまった。
さもあろう、あんな誘導の仕方で迷子にならない方がおかしい。

そこでいなくなった一人というのは、まだ20代前半と思えるはちぶんタイプのカワイイ女性だった。
薄エメラルド色の洋服にリュックには小さな白クマのアクセサリーを付けた、いかにも日本人らしい清潔感のある娘で、上海の空港内を一緒に歩き回っていたから間違えるはずもない。
たった独りで西安に来るとはよほど旅慣れているか度胸があるかのどちらかで、
一体どういう了見か?
と、ずっと気になっていたのだ。
「何をしに西安に?」と、よほど話しかけようかと思ったが、社長の目もあるし、ノッポさんやキャリーさんもいたのでやめておいたのだ。

キャリーさんによれば、「何か急いでいる様子で先に出て行ってしまった」とのことだったが、30分くらい待って、ようやくその娘は係員に連れられ「すみません!」と言いながらバスに乗り込んできた。

西安にもこんなにカワイイ日本人女性が来るのかと、ひそかに異国での出会いに期待を募らせるはちぶんである。

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