ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

Suzuki Bee Keeping

サイトマップ RSSフィード
〒382-0082 長野県須坂市大字須坂222-3

記事一覧

スペイン映画「ミツバチのささやき」

今日は1973年のスペイン映画、ビクトル・エリセ監督の「ミツバチのささやき」をご紹介したいと思います。

スペイン語のタイトルは「El espíritu de la colmena」、直訳すると「蜂の巣の精霊」だそうで、これは「青い鳥」などを書いたメーテルリンクの作品の中から引用したものだそうです。

主人公はアナという6歳の少女。

姉イザベルと母親のテレサと生活し、父親のフェルナンドは養蜂をしながらミツバチの研究に没頭しています。

ある日、この一家が住むスペインのカスティーリャ地方の小さな村に、子供達がいつも楽しみにしている移動映画館がやってきます。
このとき上映されたのが『フランケンシュタイン』、いわずと知れたホラー映画です。

その夜ベッドの中で、アナは姉のイザベルに囁くようにこう聞きます。
「なぜ、怪物はあの子を殺したの?なぜ、怪物も殺されたの?」
イザベルは答えます。
「怪物もあの子も殺されていないのよ。映画の中のできごとは全部ウソだから。でも私は、あの怪物が生きてるのを見たのよ。村はずれに隠れて住んでるの。怪物は精霊だから、お友達になればいつでもお話できるのよ。目をとじて彼を呼ぶの。“私はアナです”って」
こんな具合にイザベルはアナをからかうのが大好きなのです。

こうして物語は何気ない日常を描きながら淡々と進んでいきます。

あるとき、イザベルが死んだ振りをしてアナを驚かせた日の夜、アナはベッドを抜け出します。
それと時を同じくして、一人の逃亡者がアナが遊び場にしている廃墟になった家畜小屋に逃げこんできたのです。

翌日、アナは逃亡者を見つけ、彼に食べ物と父親の上着を与えます。
それは冒頭で見た映画のフランケンシュタインと少女の出会いのシーンと重なります。
しかしつかの間、その夜、逃亡者は追っ手に見つかり撃ち殺されてしまいました。

警察はアナの父親を呼び出し問い詰めますが、アナの様子がおかしいことに気づくと、アナは突然走り去ってしまいます。

その夜、森をさまようアナはフランケンシュタインと出会います。

翌朝、アナは無事に発見されましたが、口もきかず、食事もしなくなりました。
医者は心配する母親にこう言います。
「心配ない。やがて忘れていくから。大切なのはあの子は生きてるって事だ」
と。
そしてアナは精霊に呼びかけるのでした。
「わたしよ、アナよ……」
と。

いわゆる娯楽映画ではありませんが、死を予感させたり恐怖感を抱かせる場面があったり、全編にわたってささやくような会話と怪しいBGMは、なんだか不安感を通り越して神秘的なものすら伝わってきます。
何気ない日常の中には、人の死と恐怖と神秘的なものとが、いつもとなりあわせに存在しているのだと感じました。

でもこの映画のどこが“ミツバチのささやき”なのでしょう?(笑)

囁き合うような会話運びはミツバチのはばたきの音にも似て、もしかして映画の登場人物がみなミツバチで、人間とはミツバチのように、何かの秩序に従って生きている生き物なのだということを表現しているのでしょうかネ?

99分の映画ですので、このお正月休みにレンタルしてきて鑑賞してみてはいかがでしょう?

ファイル 391-1.jpg

はちみつ家メニュー

Copyright (C) 2011- Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.